1986 Fiscal Year Annual Research Report
電子状態理論による複核錯体の還元的脱離反応の反応機構の研究
Project/Area Number |
61540355
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
北浦 和夫 阪市大, 理学部, 助手 (30132723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西本 吉助 大阪市立大学, 理学部, 教授 (20046949)
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Keywords | 非経験的MO法 / 酸化数 / 非結合性d電子 / 錯体の還元脱離反応 / 錯体の酸化的付加反応 |
Research Abstract |
錯体の環元脱離反応(又は逆反応である酸化的付加反応)はC-HやC-C結合の生成(切断)の触媒反応の重要な素反応であり、その反応機構の理論的研究は触媒設計のための基礎的知見を得る上で興味が持たれる。特に複核錯体ではいくつかの反応経路が考えられ、それぞれの経路を特徴づける電子的要因を明らかにすることが本研究の目的である。本研究では、中心金属の非結合性d電子の役割に注目した。 系としてはPt【H_2】(μ【-H_2】P【CH_2】P【H_2】)をとり上げ、まず、1中心脱離のモデルとしてPt【H_2】【(PH_3)_2】の【H_2】脱離反応の反応経路にそって非結合性d電子のエネルギーを非経験的MO弦で解析した。反応経路はGoddardらがすでに発表しているのを用いた。非結合電子のエネルギーは、電子が配位子上に非局在化できないという制限をつけることによって持たらされる不安定化エネルギーを求めるもので、Pt【H_2】【(PH_3)_2】では0〜8個までの電子を中心金属に局在化させても不安定化エネルギーは小さいが、10個局在させると約140kcal/mol不安定になることから、2の錯体では非結合性d電子の数は8であるという結果が得られ、形式酸化数から求められる非結合性d電子数に対応している。反応経路にそって同様の解析を行ったところ、6個の電子は反応を通じてほとんど変化せず非結合のまま止まっているが、残り2〜4個の電子は大きく結合交代に関与していることが分った。この反応は形式的には2電子酸化反応であるが、本計算から、さらに2電子が重要な関与をしていることが分った。今後、この解析法を2中心脱離反応の経路にも適用して、両経路を比較することにより非結合性d電子の役割を明らかにしてゆく予定である
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[Publications] K.Kitaura: Inorg.Chem.
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[Publications] K.Sakurai: Theoret.Chim.Acta. 69. 23-34 (1986)
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[Publications] K.Nishimoto: J.Biochem. 100. 1647-1653 (1986)
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[Publications] Y.Kashimori: Chem.Phys.107. 386-396 (1986)
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[Publications] T.Takeuchi: Mass Spectroscopy. 34. 267-278 (1986)
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[Publications] Y.Ohta: J.Phys.Chem.90. 4438-4442 (1986)