1986 Fiscal Year Annual Research Report
シクロヘプタ〔cd〕ベンゾフラン類の合成とその反応性に関する研究
Project/Area Number |
61540366
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
洞口 高昭 新大, 理学部, 助教授 (60018273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 常夫 日本歯科大学, 新潟歯学部, 講師 (30095161)
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Keywords | シクロヘプタ[cd]ベンゾフラン / ヘプタフルベン / ベンゾフラン / 芳香族性 / オレフィン性 / 光化学反応 |
Research Abstract |
4-ヒドロキシ-1-メトキシ-5H-ベンゾシクロヘプテン-5-オン【1!〜】にブロモ酢酸エチル,2-ブロモプロピオン酸エチルあるいは2-ブロモ酪酸エチルを作用させることにより(1-メトキシ-5-オキソ-5H-ベンゾシクロヘプテン-4-イルオキシ)酢酸【2!〜】,(1-メトキシ-5-オキソ-5H-ベンゾシクロヘプテン-4-イルオキシ)プロピオン酸【3!〜】及び(1-メトキシ-5-オキソ-5H-ベンゾシクロヘプテン-4-イルオキシ)酪酸【4!〜】がシクロヘプタ[cd]ベンゾフラン類の原料として合成された。化合物【2!〜】,【3!〜】,【4!〜】を無水酢酸中で酢酸ナトリウムと加熱するといずれの場合も90%以上の収率で相当するシクロヘプタ[cd]ベンゾフラン【5!〜】,2-メチルシクロヘプタ[cd]ベンゾフラン【6!〜】及び2-エチルシクロヘプタ[cd]ベンゾフラン【7!〜】が得られた。また【2!〜】,【3!〜】,【4!〜】に光を照射したところそれぞれ相当する生成物【5!〜】(13%),【6!〜】(50%),【7!〜】(67%)が得られた。このように化合物【2!〜】,【3!〜】,【4!〜】を原料とすることによりシクロヘプタ[cd]ベンゾフラン類を容易に合成できた。 シクロヘプタ[cd]ベンゾフラン【5!〜】に対してヘプタフルベンならびにベンゾフランに特有な反応を行わせた。【5!〜】のクロロホルム溶液にトリフルオロ酢酸を加えると2-位にプロトン化が起こりトロピリウムイオンが生成した。パラジウム-炭素を用いて【5!〜】を接触環元すると7員環内の2つの二重結合が容易に還元されてテトラヒドロ体となったが、フラン環内の二重結合は安定であった。【5!〜】にテトラシアノエチレンを反応させると7員環内の2つの二重結合との間でDiels-Alder反応が起こり付加物を与えた。次に【5!〜】に対してオキシ塩化リンとジメチルホルムアミドによるホルミル化,塩化アセチルと塩化スズによるアセチル化を行うといずれも2-位で反応が起こった。また【6!〜】に光を照射すると7員環内で閉環反応が起こりインデノフランが得られた。これらの結果は【5!〜】がヘプタフルベンとベンゾフランの性質を合わせ持っていることを示している。
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Research Products
(1 results)