1986 Fiscal Year Annual Research Report
ペリ架橋カルコーゲン骨格をもつ縮合芳香族化合物の研究
Project/Area Number |
61540375
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大坪 徹夫 広島大, 工学部, 助教授 (80029884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安蘇 芳雄 広島大学, 工学部, 助手 (60151065)
小倉 文夫 広島大学, 工学部, 教授 (90028150)
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Keywords | 有機電導物質 / 分子錯体 / 電荷移動錯体 / 電子供与体 |
Research Abstract |
研究課題を遂行するための標的化合物として種々のペリ架橋カルコーゲン芳香族化合物の開発を試み、1,4,5,8-テトラカルコゲノ-2,3,6,7-テトラメチルナフタレンおよび3,4-ジカルコゲノ-フルオランテンの新規合成に成功した。又、研究対象をカルコーゲン骨格の更に発達した系に拡張し、TTFタイプの構造をもつ新奇化合物(ビナフト〔1,8-de〕1,3-ジチイン-2-イリデンおよびその類似体)の合成にも成功した。これらの化合物の物性を詳細に検討した結果、中程度の電子供与能を有し、その大きさは分子骨格中に硫黄、セレン、テルル元素を含有する順に増加するという知見を得た。これらの化合物の多くはTCNQ等の強い電子受容体と結晶性電荷移動錯体を作る。又、電気化学的作成法で種々の陰イオンとラジカルカチオン塩を作ることができる。これらの分子錯体の電気伝導度は金属領域から半導体、絶縁体の領域に及んでいる。特に、ペリーカルコーゲン架橋ナフタレンの錯体の中にはかなり高電導性を示すものがあることを見出した。今後、これらの新規化合物の電子材料としての可能性を検討する予定である。又、本研究で得られた分子錯体の構造と電荷移動相互作用及び電導機構の解明から、更に優れた電導物質および機能性材料の分子設計に役立てる予定である。
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[Publications] Hishakazu Miyamoto: Tetrahedron Letters. 27. 2011-2014 (1986)
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[Publications] Koji Yui: Chemistry Letters. 551-554 (1986)
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[Publications] Tetsuo Otsubo: Chemistry Letters. 315-316 (1987)
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[Publications] Tetsuo Otsubo: Synthetic Metals. 19. 595-598 (1987)