1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61540400
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
青柳 東彦 九大, 理学部, 助手 (80037267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇 道典 九州大学, 理学部, 助手 (30037212)
加藤 哲夫 九州大学, 理学部, 教授 (20037188)
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Keywords | 抗菌性塩基性ペプチド / ペプチド合成 / 両親媒性α-ヘリックス / ペプチドによる蛍光物質漏出 / 抗菌活性-構造相関 |
Research Abstract |
我々は、以前にミトコンドリア蛋白前駆体の延長ペプチドのモデルペプチドAc-【(Leu Ala Arg Leu)_3】-【NHCH_3】(1)に強い抗グラム陽性菌活性のあることを見出した。そこで1を基準として更に抗グラム陰性菌活性なペプチドの設計,合成およびそれらの物理化学的性質について検討することとした。これまでの研究で両親媒性α-ヘリックス,塩基性アミノ酸残基数や配向が抗菌活性発現に重要であることが示唆されており、それらを考慮してAc-Leu Ala Lys Lys Leu Ala Lys Leu-Leu Lys Lys Leu-【NHCH_3】(2)など12種のペプチドを液相法で合成した。いずれのペプチドも程度の差はあるが抗グラム陽性菌活性を示した。また2およびAc-(Leu-Ala Lys 【Leu_2】-Lys Ala Lys Leu Leu Ala Lys Leu-NH【CH_3】(3)はグラム陰性菌に対してもかなりの活性を示した。これらペプチドのCD測定を水,TFE中および中性(DPPC),酸性(DPPC-DPPG)リピド存在下に行なったところ、水中では大半のものがランダムであった。TFEあるいはリピド存在下で30〜60%のα-ヘリックス含量を示すことが分かった。抗菌活性発現にペプチドによる細菌膜構造の乱れが関与することが考えられる。そこでカルボキシフルオレッセインをリポソーム内に封じ込めペプチドによる蛍光物質の漏出を調べた。漏出はいずれの場合もみられた。漏出は相転移温度付近で増大し、その強さはα-ヘリックス形成能と一般に平行で抗グラム陽性菌活性とも相関したが、抗グラム陰性菌活性との相関は明確ではなかった。以上より塩基性ペプチドの高い両親媒性α-ヘリックスは強い抗グラム陽性菌活性発現に重要な因子であるが、抗グラム陰性菌活性発現には必ずしも重要でなく、むしろ塩基性アミノ酸残基数がより重要な因子であることが明らかとなった。天然物を参考にする通常の方法のほか理論的考察により合成した化合物の利用は、タンパク工学の立場からも興味がある。論文発表のほか口頭発表も多数行った。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yoshida Mutsuo: Peptide Chemistry 1985. 223-228 (1986)
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[Publications] Lee Sannamu: Peptide Chemistry 1985. 317-320 (1986)
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[Publications] Aoyagi Haruhiko: Mem,Fac.Sci.Kyushu Univ,Sev.C. 15. 247-254 (1986)
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[Publications] Lee Sannamu: Biochim.Biophys.Acta. 862. 211-219 (1986)
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[Publications] Mihara Hisakazu: Bull.Chem.Soc.Japan. 60. 697-706 (1987)