1986 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素のとり込み,電解還元触媒機能を有する金属錯体の合成・構造・反応性
Project/Area Number |
61540436
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 翼 東北大, 理学部, 教授 (90007328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永澤 明 東北大学, 理学部, 助手 (40108452)
木戸 寛明 東北大学, 理学部, 助手 (40004444)
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Keywords | 二酸化炭素電解還元 / アルミニウムNMR / アルミニウム錯体 |
Research Abstract |
1.【CO_2】の電解還元錯体触媒について。(1)【Zn^(II)】を含む1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン(cyclam)錯体が、水溶液中で、【CO_2】の電解還元触媒機能をもつことを新たに見出した。接触波の立上り電位は、-1.1V vs SCEであり、生成物は多量のCOを含む。この知見は、ひと月程前に見出したもので定性的であり、今後研究を継続する予定である。(2)【Ni^(II)】-1,4,8,12-テトラアザシクロペンタデカン錯体は、Ni【(cyclam)^(2+)】(Sauvage,1984)とほとんど同様な電解触媒機能をもつ。この接触過程はHg作用電極で起るが、グラッシーカーボン電極上では発現しない。13員環状の【Ni^(II)】錯体Ni【(〔13〕AT)^+】は、この機能をもたない。面内配位子場強度の増大が、axial位の反応性を低下させることがその原因であろう。 2.【CO_2】とり込み機能をもつAl(【III】)錯体の探索とその周辺化学。(1)【^(27)Al】-NMR.【CO_2】を可逆的に吸脱着することが知られているAl(TPP)を含むメチラトおよびエチルチオラト錯体について、【^(27)Al】NMRの測定を行った。封管した試料の温度変化により、【CO_2】の吸脱着過程を明瞭に観測することができた。また、Al錯体の溶存構造を調べる目的で、約10種の錯体について【^(27)Al】NMRの測定を行った結果、化学シフトと配位数の間に明瞭な相関関係を見出した。(2)Al-C結合の光化学的活性化を調べる目的で、O-フェニレンジアミンとアセチルアセトンから誘導される環状配位子を含むAl-エチル錯体,Al(【C_(22)】【H_(22)】【N_4】)Et,の光化学的挙動を調べた。光塩素化,発光挙動,励起三重項の寿命などについて、新しい知見を得た。(3)【CO_2】とり込み機能をもつAl錯体の開発を目的としてAl-S結合を含む錯体の合成をめざした。種々の試みの末、Al(【C_(22)】【H_(22)】【N_4】)Etとチオフェノールの反応を詳しく調べた。チオフェノラト錯体は、極めて加水分解し易く、まだ単離に成功していない。
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[Publications] Hiroshi Oshio: Bull.Chem.Soc.Jpn.
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[Publications] Syozo Tero-Kubota: Chem.Phys.Lett.131. 430-434 (1986)
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[Publications] Masako Kato: Bull.Chem.Soc.Jpn.