1986 Fiscal Year Annual Research Report
水溶液と鉱物結晶の間におけるアクチニド元素の分配過程
Project/Area Number |
61540442
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中西 孝 金沢大, 理学部, 講師 (00019499)
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Keywords | アクチニドの分配比 / 海底堆積物 / 粘土鉱物 / 収着分配比 / 脱着分配比 / 分配機序 / トラック法 |
Research Abstract |
太平洋深海堆積物,カオリナイト,モンモリロナイト,セリサイト,緑泥石の各各と合成海水から成る5つの系において、Th-228,Pa-233,U-232,Np-237,Pu-236,Am-241の収着分配比と脱着分配比を分配反応の時間の関数として測定した。その結果、収着分配平衡の達成にU,Npでは約30日、それ以外の元素で約50日程度を要することが分った。脱着分配比は、反応開始後1日での【10^6】g/g以上から、時間経過とともに低下し、U,Npで約50日、その他の元素で約100日で、収着分配比とほぼ同程度の値となった。このことから、1年間程度の時間スケールで考えれば、収着反応と脱着反応はほぼ可逆的と言って差しつかえない結論を得た。なお、U-232,Np-237の平衡収着分配比は【10^2】〜【10^3】g/gで、鉱物の陽イオン交換容量に弱く比例することが分り、陽イオン交換的な収着も起っていると言える。U,Np以外では、核種のちがい、堆積物,鉱物の種類のちがいが収着分配比の差に反映されず、約【10^4】g/g程度の分配比となり、収着分配の機序は、陽イオン交換的なものではなく、物理的収着またはイオン交換以外の化学的収着と推定された。一方、核種収着済みの堆積物,粘土鉱物にフィッション・トラック法,アルファ・トラック法(顕微鏡〜顕標鏡テレビ装置で観察)を適用して、核種のミクロな収着の仕方を観察した結果、核種の弁別はされていないが、6核種ともいずれの堆積物,鉱物にも均一に収着されており、核種の巨大なコロイド粒子形成を経ての収着は認められず、みかけ上は均一分散的な収着とみなせる。 今後、実際の海底直上水と海底堆積物の間におけるTh,Pa,U,Pu,Amの分配比を実測し、今回の実験室データとの比較を行って、海底〜海水境界における放射性核種の除去、再溶出過程の機序を明らかにする計画である。
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Research Products
(1 results)