1986 Fiscal Year Annual Research Report
一次元構造を有する遷移金属カルコゲナイドの合成と性質
Project/Area Number |
61540457
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
大谷 槻男 岡山理大, 理学部, 助教授 (70108976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 宏哉 岡山理科大学, 理学部, 助教授 (90098591)
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Keywords | トンネル化合物 / イオン交換反応 / デインタカレーション |
Research Abstract |
1.イオン交換反応 トンネル型一次元化合物であるTl【V_5】【S_8】,Tl【V_5】【Se_8】,Tl【Cr_5】【Se_8】,Tl【Cr_5】【Te_8】,Tl【Ti_5】【Se_8】Tl【V_6】【S_8】,Tl【Ti_6】【Se_8】,のイオン交換反応を行なった。上記化合物のそれぞれと、NaI,KI,KBr,RbBr,CsBrのいずれかとを石英管内に封入し、ハロゲン化物の融点より10℃高い温度で1週間反応させる方法で行ない、反応後の試料はEPMA法で分析を行ない、イオン交換率を求めた。その結果TlとNa,K,Rb,Csは上記いずれの化合物においてもイオン交換することがわかった。またX線回折測定の結果、イオン半径の大きさに応じてトンネル径は変化するのに対しトンネル方向の格子定数には変化のないことがわかった。特に注目すべき結果としてはNaがトンネル内に入ることができるという事実である。Naを含む上記トンネル化合物は熱平衡状態では不安定であるためか、通常の方法では合成できない。今回のイオン交換法により初めて合成されたわけであり、化合物としては準安定であるが新化合物である。 2.デインタカレーション イオン交換法によって合成された化合物のアルカリイオンのデインタカレーションを行なった。Al【Cl_3】水溶液を用いて行ない、イオン量をEPMA法により求めた。全ての化合物でイオンがデインタカレートされることが明らかになった。特に注目すべきはNa【Cr_5】【Se_8】のNaが完全に徐去され、【Cr_5】【Se_8】の骨格構造のみの化合物が得られたことである。通常の方法では合成不可能な構造であり新化合物が得られたことになる。今一つの注目すべき結果としてはA【Cr_5】【Te_8】のアルカリイオンがKの場合では反強磁性、それ以外では強磁性を示すことが明らかになった点である。Cr-Cr間距離と交換相互作用の関係が今後、興味ある課題であると思われる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Ohtani;H.Sakai: Solid State Communication. 57. 81-83 (1986)
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[Publications] T.Ohtani;S.Onoue: Materials Research Bullitin. 21. 69-76 (1986)
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[Publications] T.Ohtani;T.Yamaoka;K.Shimamura: Chemistry Letters. 947-950 (1986)
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[Publications] T.Ohtani;H.Honjo;H.Wada: Materials Research Bulletin. 22. (1987)
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[Publications] K.Hayashi;A.Kawamura;H.Nishihara: Sol.St.Commun.58. 781-782 (1986)
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[Publications] K.Hayashi;A.Kawamura: Mat.Res.Bull. 21. 12 (1986)