1986 Fiscal Year Annual Research Report
半数体プロトプラストの細胞融合による遺伝子導入と有用形質の選抜
Project/Area Number |
61540465
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小野 莞爾 熊本大, 理学部, 教授 (70033842)
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Keywords | 半数体培養細胞 / 硝酸還元酵素欠損突然変異株 / アントシアニン / 蘚苔類培養細胞 / 薬剤耐性 / プロトプラスト / 細胞融合 |
Research Abstract |
1.(1)ヒゴシャクヤクN【R^-】株(S82)からほとんど赤色細胞からなるS82R培養細胞系を確立した。(2)S82Rの細胞が生産する色素はTLCによりシアニジン系アントシアニンのクリサンテミンと同定された。培養の過程でこれ以外の色素は見出されなかった。色素生産量は培地へのK【NO_3】の添加、適当な濃度のNAAとKinetinの添加、ショ糖と光量の増加により高まった。(3)細胞学的観察では、S82Rは2倍性にピークを持つ異数性になっていた。(4)S82Rの細胞からプロトプラストを単離し培養を試みたが十分な分裂が見られなかった。今後、培地や培養条件の検討が必要である。また細胞融合法による形質導入から高生長高アントシアニン生産株の確立を試みる予定である。 2.(1)蘚苔類培養細胞6系統を用いて、カナマイシン,A2C,パラコートに対する耐性試験をした結果、それぞれの系統間で耐性度に差があった。(2)蘚類タチゴケのカルスから継代可能な培養細胞系を確立した。この系はプロトプラストの単離が容易であり、今後すぐれた実験系となる可能性がある。(3)薬剤耐性度の差と分化能の差を利用して細胞融合実験で雑種細胞のみを選抜できる4通りの組合せを見つけた。その中で、タチゴケとフタバネゼニゴケの細胞融合では、両者の雑種細胞が得られた。(4)ゼニゴケ(A18)の細胞壁を精製し、その中に高度のペルオキシダーゼを見出した。これは、今後雑種細胞の形質を細胞壁成分から分析する研究への手掛りとなるものである。
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[Publications] Kanji Ono;Yoko Murasaki;Kiyo Kawauchi: Botanical Magazine Tokyo. 100. (1987)
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[Publications] Akio Ishida;Kaoru Ookubo;Kanji Ono: Plant and Cell Physiology. 28. (1987)
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[Publications] 小野莞爾: 現代化学・増刊5(東京化学同人刊). 25-35 (1986)