1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61540492
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
下田 親 阪市大, 理学部, 助教授 (80047290)
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Keywords | 有性生殖 / 酵母 / 接合 / 遺伝子クローニング / 塩基配列決定 / ノザン法 / サザン法 |
Research Abstract |
以下に本年度の実績を、交付申請書の実施計画と対応させて報告する。 (1)分裂酵母S.pambeの有性生殖の開始を制御する遺伝子の同定:有性生殖開始に欠損を持つ突然変異株は接合不能(ste)になるとの予測のもとで、ste変異株を解析し、新たに2個のste遺伝子を発見した。接合不能変異株の、窒素欠乏培地中での挙動を調べ、ste1遺伝子が開始に関わる重要な制御遺伝子であることを示した。特に窒素飢餓条件で野性型株が熱ショック耐性になるのに対して、ste1では著しく熱ショック感受性であることが注目される。(2)ste遺伝子のマッピング:ste5(ras1)遺伝子が第一染色体pro2近傍に座位することを証明した。(3)ste遺伝子のクローニング:ste1とmam2の2つの遺伝子を多コピープラスミドにクローン化した。(4)塩基配列の決定:クローン化したDNAについてジデオキシ法による塩基配列決定に着手した。(5)mam2遺伝子の転写調節の解析:クローン化したDNA断片をプローブとしてノザンハイブリダイゼーションを行い、約1.5KbのmRNAを検出した。またこのmRNAが接合型遺伝子の支配下で、窒素飢餓条件でのみ出現することが明らかになった。(6)アミノ酸配列から予想されるste1,mam2タンパクの同定については塩基配列決定後、コンピュータ解析を行う予定である。(7)サザンハイブリダイゼーションによるホモロジー検索:クローン化したmam2遺伝子と弱いハイブリダイゼーションを示すDNA配列が他種真核生物(ショウジョウバエ・マウス)のゲノム中に見出された。本遺伝子の重要な機能を暗示するものと考えられる。 購入した備品(パーソナルコンピュータ)は遺伝解析データの計算,制限酵素地図の作成,塩基配列データの解析等、本研究のほとんどすべての面で役立っている。
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