1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61540511
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
沢井 毅 山形大, 教養部, 教授 (10007239)
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Keywords | 両生類卵 / 分裂溝形成 / 表層変化 |
Research Abstract |
卵膜を除去したイモリ卵を寒天ゲルの細溝に入れて細長く変形させると、微速度撮影した映画で卵表面の色調の変化として観察されている弛緩波と収縮波を顕微鏡下で直接観察することができる。本研究では、このような変形卵において弛緩・収縮波の伝播時期と、1.卵形の局所的変化,2.卵表面の局所的伸縮,3.表層の各部域が分裂溝形成能を獲得する時期,および4.表層のかたさの変化,との関係を調べ、分裂溝形成期に起る各種表層変化の伝播の時間的・位置的関係を総合的に把握することを目的とした。 1.卵表面の色調がいく分淡くなる明帯として観察される弛緩波が通過する時に、その部域は環状に膨潤した。弛緩波に接して直ぐ後を暗帯として伝わる収縮波の部域は環状に締まった。すなわち、両波を卵表面の明瞭な形状の変化として観察できた。 2.卵表面に炭素粒を付着させ、その二点間の距離を測定した。変形卵の長軸方向においては、弛緩波の通過部域で表面の伸長が、収縮波の部域では短縮が起った。 3.表層下の2〜4個所に分裂溝形成を誘起する細胞質因子を注入し、各部域に溝が形成される時期と弛緩・収縮波の通過時期との関係を調べた。各部域で溝形成が起る時期は、殆んどすべての例で収縮波の通過時期かその後であった。 4.表面吸引法により表層のかたさの変化を測定したところ、収縮波の通過時期にかたさは増加した。弛緩波の通過時期のかたさの変化については、現在、実験中である。 これらの結果から、卵割期に起る卵表面の色調、卵形、伸縮、およびかたさの変化の起る時期は完全に一致していることが明らかになった。恐らく、これらの変化は、表層のある種の構造変化を伴なう分裂溝形成に必要な準備の反映であると思われる。
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