1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61540560
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浜本 礼子 九大, 理学部, その他 (40089917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 哮 九州大学, 理学部, 助教授 (90037234)
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Keywords | 日本海溝堆積物 / Sr同位体比 / 風成堆積物 |
Research Abstract |
日本海溝をはさんで堆積環境の異なる二本のドリル・コア,site435と436について計93個の試料のRb,Sr含有量およびSr同位体比を測定し、以下の結果を得た。1.Rb,Sr含有量およびSr同位体比の変化は、生物源シリカ、陸源砕屑物質(日本列島から供給された砕屑物)、遠洋性堆積物の三者の混合によって説明できる。2.遠洋性堆積物のSr同位体比は従来考えられていたように海水と平衡にあるのではなく、はるかに高い値を持つ。すなわちこれは偏西風によって中国の内陸乾燥地帯から運ばれた風成堆積物である可能性がある。3.海溝の大洋側の隆起帯でのコアであるsite436では層序変化が著しい。更新世の堆積物のRb/Sr比,Sr同位体比は海溝陸側斜面上の堆積物であるsite435と同じ値を持つが、堆積時代が古くなるにつれてRb/Sr比,Sr同位体比共に高くなる。これは現在は日本海溝のすぐ近くの大洋側に位置しているsite436の堆積物は15Ma以前にはずっと日本列島から離れた位置にあり、その堆積物はほぼ遠洋性堆積物のみからなっていたのが、プレートの動きによってしだいに日本列島に近づき、それからの物質の供給が増加していったことを示している。 以上の結果の一部は1986年7月ケンブリッジ大学で開催された第6回地質年代学・宇宙年代学・同位体地質学の国際会議で発表し、さらにデータを加えて1987年4月の日本地質学会で発表の予定である。また標記の問題に関連して、室戸岬ハンレイ岩に伴う文象斑岩の黒雲母のRb-Sr年令を測定し、それが迸入した中新世の海溝充填堆積物と考えられる室戸岬オリストストロームとの時代的関係とその堆積場を議論した。その結果は1987年3月、九州大学理学部研究報告に発表する。
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Research Products
(2 results)