1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61540562
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
棚井 敏雅 北海道大学, 理学部, 教授 (10000746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 和彦 国立科学博物館, 地学研究部, 研究員 (50000138)
佐藤 誠司 北海道大学, 理学部, 講師 (30000813)
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Keywords | 第三紀 / 被子植物 / ブナ / 進化 / コナラ |
Research Abstract |
当初の研究計画に従って、大型化石についてはブナ属・コナラ属の系統分類及び時代分布の検討を進め、国内の研究機関に所藏されているタイプ標本も含めて再検討を行なった。花粉化石に関しては2属の時代分布の消長を整理検討した。さらに、北半球における第三紀フローラ資料を整理し、とくに温帯フローラと第三紀古地理の関係について検討し、第三紀温帯要素の移動・分布変遷を植物地理学的に考察を進めた。以上の研究を通じて得られた主要な成果は次の通りである。 (1)東アジアにおいてはコナラ属は始新世後期以降、ブナ属は中新世初期以降に出現し、中新世後期以降にそれぞれ分化発達した進化系統を明らかにした。(2)東アジアのコナラ及びブナ属はその出現時期が北アメリカ西部よりも遅れているそと、また、初期の化石種が北アメリカの古第三紀種に近縁であることが確かめられた。この事実は、ブナ科のこの2属の主系統の起源が北アメリカにあったことを示唆し、注目すべきことである。(3)これに関連して、温帯属として代表されるカエデ属の東アジアと北アメリカにおける植物地理・系統分化の検討を行なったが、同様な結論が得られたことは興味深い。(4)現生ブナ科の葉脈系による分類学的検討を行ない、それらの結果を化石葉に適用するために、国内外の植物学研究機関を通じて世界の現生コナラ属の葉標本を収集し、既存のものを含めて約180種の比較標準プレパラートを充実させることができた。 以上の研究成果は国内の学会において口頭発表するとともに、一部は公刊準備中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 棚井敏雅: 採集と飼育. 48. 428-435 (1986)
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[Publications] Tanai,T.: 植物研究雑誌. 62. 1-6 (1987)
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[Publications] Wolfe,J.A.;Tanai,T.: Jour.Fac.Science,Hokkaido University,ser.IV. 22. 1-246 (1987)