1986 Fiscal Year Annual Research Report
現生および化石単体六射サンゴ類骨格の形成機構に関する基礎的研究
Project/Area Number |
61540563
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 啓 東北大, 理学部, 助教授 (00004466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中森 亨 東北大学, 理学部, 助手
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Keywords | サンゴ / 成長輪 / 日輪 / 隔壁 / パリ / 種内変異 |
Research Abstract |
本研究課題においては、1.サンゴの成長論、特に日輪についての研究、と2.サンゴの骨格の種内変異について、の二点に焦点をあてて研究を行っている。1については、単体サンゴと群体サンゴの成長輪の比較のために、まず鹿児島県喜界島の第四系湾層産の群体サンゴ化石,Trachyphyllia geoffroyiについて研究し、次の結果を得た。(1)細かい成長輪を電子顕微鏡写真で測定の結果、一つ一つの成長輪の幅に周期性が認められ、一つの周期内に330〜340の成長輪が数えられた。(2)この一つの周期は一年とみなされ、細かい成長輪は日輪と考えられる。(3)従来、地球の自転速度の変化にともなう、地質時代の一年の日数の変化が注目されてきたが、日輪幅の周期性は不明であった。この周期は一年の夏と冬の水温差を反映しているものと考えられ、今後の化石および現生単体サンゴの成長輪の研究の基礎的データとなっている。つまり、共性藻類をもたない深海の単体サンゴの成長輪の形成パターンもあわせて研究することにより、地質時代における化石単体サンゴの成長輪の形成要因を明らかにできると考えられる。2の研究では、特にサンゴの分類形質として重要視されている外形の変異,隔壁とパリの形成様式の種内変異を調べた。これまでに判明した知見は以下の通りである。(1)同一種において、莢の大きさは隔壁数に比例して大きくなる。(2)莢の高さは遺伝学的要因の他に環境によっても変化するが、基本的には隔壁数の多いものほど高くなる。(3)隔壁が6の倍数を基体としても、基本数の異なる個体が同一種内にも存在することがある。(4)隔壁のサイクルが"不完全"であっても成体とみなされるものが多い。(5)隔壁数およびパリ数は遺伝的要因によって支配されている。サンゴ個体が一定の大きさになると、その数は一定となり、個体成長の過程での隔壁の位置は変化しない。(6)パリの有無は必らずしも属種の区別には使えない。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 森啓: Journal of Paleontology. 61. 21-31 (1987)
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[Publications] 森啓: 95. 67-69 (1986)
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[Publications] 森啓: "サンゴーふしぎな海の動物ー" 築地書館, 197 (1986)