1986 Fiscal Year Annual Research Report
後期新生代における北西太平洋の浮遊性微化石による古海況復元のための基礎的研究
Project/Area Number |
61540565
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
尾田 太良 熊本大, 理学部, 助教授 (60108454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真鍋 健一 福島大学, 教育学部, 助教授 (10007354)
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Keywords | 後期新生代 / 浮遊性有孔虫化石 / 北西太平洋 / 対比と年代決定 / 古海況 / 古気候 |
Research Abstract |
本研究の目的は、北西太平洋中緯度地域の南北にわたる上部新生界の分布する地域において地質調査・微化石用試料の採集を実行し、浮遊性有孔虫化石による対比・年代決定を行ない、更に各地質断面における個々の種の時空分布・地理的変異を明らかにするとともに群集解析を行ない、浮遊性微古生物相の地理的異同と時間的変化を明確にし、後期新生代を通じての古海流・古水塊の変遷を考察するための基礎資料を得ることである。以下に今年度の成果の要点を個条書きで記す。 1.浮遊性有孔虫化石層序:山梨県富士川流域身延付近・高知県奈半利付近及び福島県四倉付近の地質調査を実施し、岩相層序を確立し、各地質断面において微化石用試料の採集を行なった。身延付近に分布する新第三系は下位により勝坂層,和平層,出口層,屏風岩層,原層,飯富層,曙層に区分され、浮遊性有孔虫の層位学的分布を検討した結果、8化石帯が確認されまたいくつかの化石基準面の発見により中部中新統〜上部鮮新統の位置づけが行なわれた。奈半利付近に分布する登層、四倉付近に分布する広野・富岡層の浮遊性有孔虫化石の層位的分布の検討した結果、いくつかの化石基準面の発見により、それぞれ上部鮮新統と下部〜上部鮮新統に位置づけられることが判明した。 2.浮遊性有孔虫化石の時空分布と群集解析:富士川流域の新第三系の浮遊性有孔虫化石群集の解析の結果、従来北海道,東北,北関東地方にだけ分布していると考えられていた冷温性種が屏風岩層にも確認され、その時期は中期中新世中期(約14百万年前)であることが明らかになった。この冷温性種の南北は、南極地域の氷床の発達に伴う寒冷化の時期と一至し、汎世界的な規模での海洋古環境・古海流の変化に騨応しているものと考えられる。
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