1986 Fiscal Year Annual Research Report
阿武隈山地の新期花崗岩類と関連する変成岩類の岩石学的研究
Project/Area Number |
61540582
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
田中 久雄 山形大, 理学部, 助手 (30007174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 清茂 大阪府科学教育センター, 研修部, 主任研修員 (00125246)
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Keywords | 中部阿武隈山地 / 深成岩類 / 変成岩類 / 岩石の分布 / 岩石の鉱物成分 / 造岩鉱物の化学組成 |
Research Abstract |
中部阿武隈山地の、福島県塙町東部から茨城県北茨城市北部にわたる。深成岩類と変成岩類よりなる地域について地質調査を行い、多数の岩石資料を採集した。そして多数の岩石薄片を作成し、その記載を行った。塙町東部の東西約10Km,南北約15Kmの地域には花崗岩類が主に分布するが、それらは南西部から北東部に向かって、肉眼での特徴により、片状,大型くさび名・磁鉄鉱含有,斑状石英含有,細粒等粒状の4つの岩相に区分できる。細粒等粒状の岩石はチタン鉄鉱系列、それ以外の岩石は磁鉄鉱系列である。新たに購入した鉱物成分自動計数装置を用いて、多数の岩石の鉱物成分を厳密に測定した結果、それら花崗岩類の主体は花崗閃緑岩で、他にトーナル岩と花崗岩が少量存在することがわかった。これら花崗岩類の南東縁に位置して、南西〜北東方向に伸びた幅最大5Kmの帯状部に、片状トーナル岩が変成岩類を密接に伴って分布する。さらにその東には、グラニュライト相から角閃岩相の変成岩類が幅約5Kmにわたり南北に伸びて分布し、東側で田人岩体のトーナル岩と接する。グラニュライト相の変成岩類は田人岩体のトーナル岩に近接して産することが多く、後者の貫入による接触変成作用によりもたらされたと推定される。塙町の細粒等粒状花崗閃緑岩はしばしば白雲母とざくろ石を含有し、Sタイプの花崗岩類に似ている。それらは変成岩類に近接して産することがわかり、その成因に変成岩類が多少なりとも寄与したものと推定される。東北大学の微小部分分析計を用いて、花崗岩類中の主要造岩鉱物の化学分析を行った。チタン鉄鉱系列と磁鉄鉱系列とで、含有されるホルンブレンドと黒雲母のMg/(Mg+Fe)比が大きく異なる。一般に、An20〜30組成の斜長石とOr5〜10組成のアルカリ長石が隣接し、Stormer(1975)の2長石温度計では、350℃〜400℃と非常に低い平衡温度が得られる。
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