1986 Fiscal Year Annual Research Report
木星型惑星及びその衛星の内部構造に関する実験的研究
Project/Area Number |
61540595
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
大谷 栄治 愛媛大, 理学部, 助手 (60136306)
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Keywords | 水 / アンモニア / 木星型惑星 / 衛星 / 内部構造 / 圧力 / 相関係 |
Research Abstract |
木星型惑星とその衛星は、【H_2】、H0、N【H_3】、C【H_4】などを重要な構成物質としている。これらの天体の内部構造と形成過程を論ずるために、本年度は、主として、水-アンモニア系の高圧下での相関係を解明するための実験を行った。 高圧実験には、レバー式ダイヤモンドアンビル高圧装置を用い、常温で、100kbまでの圧力において、水-アンモニア系の相関係を明らかにすることを目的とした。圧力は、ルビー螢光法で決定し、高圧下での相の同定と相関係の決定には、偏光顕微鏡及び高圧下での粉末X線によるその場観察を併用した。粉末X線回折は、東大物性研の協力をあおぎ、SSD及びフィルム法の2つの方法を用いて行った。出発物質は、宇宙有在度に相当する水とアンモニアの質量比、約14wt%N【H_3】、及び27wt%N【H_3】の2種類の水溶液を使用した。アンモニア濃度の決定は、常温で水溶液の比重を精密に測定することにより行った。 今回の実験の結果、水-アンモニア系において、宇宙有在度組成(【H_2】O-14wt%N【H_3】)、295Kでのリキダスは、約12kb、ソリダスは、約37kbであることが明らかになった。高圧下でのX線回折の結果、常温でソリダスとリキダスの間の圧力(12kb<P<37kb)では、低圧測で、ICE【VI】、高圧側で、ICE【VII】が液と共有することが明らかになった。2固相共存領域(P>37kb)では、ICE【VII】の存在が、高圧X線によって、確認されたが、回折線の数と強度が不十分であったために、含水アンモニア固相の同定はできなかった。木星型惑星の衛星の推定内部温度と、今回の水-アンモニア系の相関係を比較すると、衛星表面では固相が安定であるが、衛星内部では、ICEの多型とアンモニアに富む液相(マグマ)の共有する部分熔融状態である可能性が高いことが明らかになった。
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