1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61540600
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
池田 次郎 岡山理大, 理学部, 教授 (30025217)
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Keywords | 津雲貝塚人骨の特異性 / 吉備地方の地域的特徴 / 縄文後晩期人の地方差 |
Research Abstract |
1.吉備地方では、岡山県津雲貝塚をはじめとし数多くの遺跡から縄文時代後晩期の人骨が大量に出土している。本研究では、津雲人骨を中心とする吉備地方の縄文人骨を調査し、この地方の地域的形態特徴を明らかにするとともに、縄文後晩期における日本列島人の地域差を検討する。2.本研究の目的を達成するためには、全国の諸研究機関が所蔵する吉備地方の縄文人骨(未発表資料を含む)を調べ、そのデータを東北,関東,東海,近畿,九州地方の同時代人骨のデータと比較検討する必要があるが、今年度、実施した調査は次の通りである。3.岡山理科大学所蔵の岡山県福田貝塚,走出貝塚出土の縄文後期人骨(ともに未発表資料)については、水洗,接合,復元を行った後、それらの計測,観察,写眞撮影などすべての調査を完了した。4.京都大学自然人類学講座所蔵の津雲,船元,羽島貝塚など岡山県出土の縄文人骨についても、すべての調査を完了した。5.東京大学総合研究資料館所蔵の津雲,船元,羽島の資料については、破損が著しいため、それらの接合、復元の作業を行い、計測などの調査は昭和62年度にもちこされた。6.吉備地方以外の縄文後晩期人骨については、原則として既発表のデータを利用するが、比較に必要なデータが欠けている場合は、それらについて調査する。本年度は、京都大学所蔵の近畿,東海地方,東京大学所蔵の関東地方,九州大学解剖学教室所蔵の九州地方の資料についてデータを収集した。7.上記のように、本年度は資料の整備および計測値など基本的データの収集に終り、まとまった結果をうるに至っていないが、調査が終了している京都大学の津雲資料に関する限り、脳頭蓋,顔面頭蓋,四肢長骨の多くの計測値および非計測的特徴において、これが縄文後晩期人として特異な存在であることが明らかにされた。
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