1986 Fiscal Year Annual Research Report
多量の銀を含むカルコゲナイド非晶質半導体の光・電子線誘起現象に関する研究
Project/Area Number |
61550014
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
川口 健 名古屋工大, 工学部, 助手 (80144195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸野 重雄 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (60024204)
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Keywords | カルコゲナイド非晶質半導体 / 薄膜 / 光ドーピング現象 / 可視光透過特性 / PSD現象 / 造膜速度 / 構造変化 |
Research Abstract |
(1)銀が存在することにより現われる現象をより明確にとらえるために、まず、銀を含まないカルコゲナイド非晶質半導体の研究を行なった。Ge-S系薄膜の構造に及ぼす造膜速度の影響をESR,可視光透過スペクトル,X線回折等により調べた。造膜速度の増加により、膜構造の乱れが増大することが明らかになった。さらに、光・熱によるGe-S系薄膜の構造変化を調べた。光照射および熱処理により薄膜構成原子は重合を起し、膜構造の乱れは減少することが明らかになった。(2)Ge-S系薄膜上に銀を蒸着して2層膜試料を作製した。銀の光ドーピングによる2層膜の可視光透過スペクトルの変化を詳細に調べた結果、光ドーピングを起しても透過率の変化しない特異な波長が存在することを見い出した。この等過率点をisotransmission point(【λ^*】)と名付け、その出現理由を考察した。(【i】)光ドープした領域の銀濃度が一定であること。(【ii】)2層膜の厚さが十分に薄くて、可視光透過スペクトルに干渉の影響がみられないこと。この2つが【λ^*】の出現条件である。さらに、ドープした銀量が透過率の変化から定量的に求められることが明らかになった。一方、2層膜の銀層側およびGe-S層側から光照射を行ない、両者のドーピング速度の違いから、光ドーピングに有効な光の吸収はカルコゲナイド層とドープ層で起ることを明らかにした。(3)光析出現象(PSD現象)の機構を探るため、【As_(15)】【S_(40)】【Ag_(45)】バルクガラスを用いて種々の実験を行なった。光照射を行なうと、まず、ガラス表面に析出銀粒子の核が発生する。光照射領域の電位が負になることから、ガラス内部の【Ag^+】イオンが光照射領域に集まることが考えられる。さらに、核の表面で【Ag^+】は金属銀になり、析出銀粒子の成長が起るものと考えられる。その他、(4)Ge-S系およびGe-S-Ag系薄膜のESCA分析、(5)PSD現象(Ge-S-Ag薄膜)の金添加効果、(6)Ge-S-Ag薄膜の電子線構造変化、(7)光起電力効果などの実験を行なった。
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[Publications] 川口健,佐々道成: 真空(日本真空協会). 29. 315-322 (1986)
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[Publications] Takeshi KAWAGUCHI;Kanji MASUI: Japanese Journal of Applied Physics. 26. 15-21 (1987)
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[Publications] Takeshi KAWAGUCHI;Shigeo MARUNO;Kanji MASUI: The 6 th International Conference on the Physics of Non-Crystalline Solids(7/6-7/10,1987,Kyoto).
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[Publications] Takeshi KAWAGUCHI;Shigeo MARUNO;Kanji MASUI: The 12th International Conference on Amorphous and Liquid Semiconductors(8/24-8/28,1987,Prague).
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[Publications] Takeshi KAWAGUCHI;Shigeo MARUNO;Kanji MASUI: The 12th International Conference on Amorphous and Liquid Semiconductors(8/24-8/28,1987,Prague).