1988 Fiscal Year Annual Research Report
密閉二相熱サイフォンの不安定現象とエロージョン破損に関する研究
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61550050
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Technology |
Principal Investigator |
根岸 完二 東京都立科学技術大学, 機械システム工学科, 教授 (60081262)
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Keywords | 密閉二相熱サイフォン / 不安定現象 / エロージョン / 蒸気泡の崩壊 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の最終年度であり当初の実施計画に従って下記のように順調に推移した。また、研究成果報告書の作成を行なった。 1.サイフォン内のエロージョン進行の解析 過去2年間の研究から、直接エロージョン破損に関連する不安定現象として、純水を作動流体とした熱サイフォン内に生じる核沸騰形の中規模と大規模不安定が指摘された。したがって、本年度はこれらに焦点を絞り、銅管熱サイフォンの連続作動試験を行った結果、約1000時間で蒸発部中腹に内部からのエロージョンと考えられる小孔が発生した。そこで、これが上記の不安定現象によるものであるこを確認するため、耐熱ガラス熱サイフォンを試作し、詳細な内部現象の観察の結果、不安定作動中の大気泡の膨脹により押し上げられる大量の液体の落下と大規模不安定時の反射衝撃波によって、後続の小気泡群が崩壊され、その際生じるマイクロジェットが壁面を強打しエロージョンを生じさせるのであることが明らかになった。さらに、高速度写真の解析により、液体落下直前の小気泡群の分布は蒸発部中腹に集中することも知られ、上記の結果の確証にもなった。 2.エロージョン防止策の開発 エロージョン破損の防止策として、内部流動を制御するための小型ヒータの組込み策と緩衝効果のための小量の不凝縮性ガスの封入策の検討を行なった。前者は大・中両規模の不安定現象によるエロージョンに効果があるが、ヒータの寿命に問題を残し、後者は大規模不安定によるエロージョンにのみ効果的である。なお、防御策として耐エロージョン性の高い材料による内張あるいはコーティングについても検討したが、それらの材料の伝熱学的特性も混えた十分な研究が今後必要である。
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