1986 Fiscal Year Annual Research Report
極低温および高ひずみ速度下での材料の微視的変形・破壊機構に関する基礎研究
Project/Area Number |
61550058
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岸田 敬三 阪大, 工学部, 教授 (00029068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 元博 大阪大学, 工学部, 助手 (40164256)
横山 隆 大阪大学, 工学部, 助手 (60093944)
片岡 俊彦 大阪大学, 工学部, 助教授 (50029328)
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Keywords | 極低温 / 高ひずみ速度 / 負荷速度 / 塑性変形 / 破壊じん性 / 双晶 / 転位 |
Research Abstract |
本研究は、材料の微視的変形・破壊機構を明らかにしようとするものであり、そのために基礎的な材料の応力-ひずみ関係と破壊じん性を、温度とひずみ速度の両方のパラメータを変えて正確に測定するとともに、変形組織と破面の顕微鏡観察を実施している。温度を室温から極低温まで変化させて引張・破壊試験を行うために、横置きの極低温ヘリウムガス連続フロー型クライオスタットを用いる試験機の開発を今年度実施した。この新しく開発した油圧式高速引張試験機は、これまでのインストロン試験機とホプキンリン棒式衝撃試験機を用いた実験の中間領域のひずみ速度で引張・破壊試験を行うことが可能であるため、材料の変形・破壊強度特性の負荷速度依存性も詳細に検討できるようになった。 微視的変形・破壊機構に基づくモデルを検討する上で、高純度の鉄は、温度・負荷速度依存性が大きく、組織も単純であるので、好都合な材料と考えられる。本研究では、この純鉄について重点的に基礎実験を行い、変形組職と破面の顕微鏡観察を実施している。これまでに準静的負荷に対する引張・破壊試験をインストロン試験機を用いて行った結果、純鉄では、引張試験における破断伸びや断面収縮率の測定結果と同様に破壊じん性のぜい性-延性遷移は、60K付近で起き、この温度は負荷速度が増すと高温側へ移ることが明らかになった。また、極低温で破壊した試験片の断面をエッチングして観察したところ、き裂先端近くで双晶変形が起きていたことが分かった。純鉄のようにぜい性-延性遷移の起こる微視的変形・破壊機構のモデルを考えて、そのモデルに基づくシミュレーション・プログラムを作成し、き裂先端での転位の発生と運動が破壊強度に及ぼす影響の検討を始めた。このモデルから導出される温度と負荷速度の関係を用いると破壊じん性の実験結果を良く整理できる。
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