1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61550096
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中島 利勝 岡山大, 工学部, 教授 (80026038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 真也 岡山大学, 工学部, 助手 (80163773)
宇野 義幸 岡山大学, 工学部, 助教授 (20029341)
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Keywords | 室化けい素 / サイアロン / アルミナ / 精密研削加工 / 単粒研削 / ダイヤモンド砥石 / 塑性変形領域 / 砥石摩耗 |
Research Abstract |
本年度は室化けい素セラミックスの一種で特に耐食性にすぐれているといわれるサイアロンを被削材として取り上げ、その精密研削過程を解明することを目的として、ダイヤモンド切れ刃による単粒研削実験およびメタルボンドダイヤモンド砥石による円筒プランジ実験を行った。本年度の研究で得られた主な結論は以下の様である。1.サイアロンの円弧形単粒研削においては、切れ刃の干渉深さより弾性変形領域、塑性変形領域および切削領域の3つの領域が存在する。2.切れ刃の最大干渉深さによって、(1)弾性変形だけの場合、(2)弾性変形→塑性変形→弾性変形の場合、(3)弾性変形→塑性変形→切削状態→塑性変形→弾性変形の場合といった3種類の接触形態が存在する。3.切りくずは、脆性破壊によって生成されたものと塑性変形によって生成されたものが混在する。4.溝の表面に生成される粗さは、切込み量あるいは切れ刃先端丸味半径が大きいほど大きくなる。5.金属の場合と異なり、切始め側と切終り側での弾塑性領域の長さはほぼ同じである。6.サイアロンの円筒プランジ研削過程においては、過渡、定常およびスパークアウトの3つの異なる研削状態が存在する。7.サイアロンの表面生成は、室化けい素の場合とほぼ同様に、脆性破壊と塑性変形の両者によって進行する。8.サイアロンの研削においては、熱伝導率が低いので研削点において発生する熱が滞留して温度が上昇するために、切れ刃先端に熱的な摩減摩耗を生ずる。9.サイアロンは常温では室化けい素、アルミナより硬度、じん性は高いが、研削抵抗は室化けい素より小さくアルミナより大きい。10.サイアロンはアルミナや室化けい素より砥石摩耗量が大きいので、研削比も小さい。今後は、本年度の研究成果を基にして、メタルボンドダイヤモンド砥石を用いて精密成形研削を行う場合の基礎資料を得るために、円弧形砥石および【V】形砥石による成形研削機構を実験的に解明していく予定である。
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