1986 Fiscal Year Annual Research Report
粘弾性特性の導入にもとづく高分子材料の切削過程シミュレーション法の開発
Project/Area Number |
61550101
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
安味 貞正 武蔵工大, 工学部, 助教授 (70061497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益子 正巳 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (70016210)
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Keywords | 特性定数 / 流動応力特性式 / 工具すくい面摩擦特性式 / 硬質塩化ビニル樹脂の切削過程シミュレーション |
Research Abstract |
高分子材料の切削過程を解析的に把握するために、材料の粘弾塑性的特性を導入した構成方程式を定め、各種高分子材料の切削過程の解析に必要な特性定数および流動応力特性を求め、これをもとに有限要素法を用いて切削過程のシミュレーション解析を実現することを目的としているが、61年度は主に硬質塩化ビニル樹脂を具体例として研究し、かなりの成果を挙げることができた。以下にその成果の概要を記す。 1.高分子材料に共通の粘弾塑性変形挙動を表現する簡単な力学的モデルとしては、フォークト要素にばね要素および塑性要素を直列に結合した四要素固体モデルが実用的であり、このモデルを用いれば、三軸応力系の特性定数は単軸応力系のそれらを用いて容易に求められることが明らかとなった。 2.単軸応力系の材料特性定数は、万能材料試験機による簡単な静的圧縮および除荷試験によって容易に求められることが明らかとなった。 3.材料の流動応力特性は高速単軸圧縮試験によって求められ、解析に有用な流動応力特性式を求めることができた。 4.境界條件である工具すくい面摩擦特性は、すくい面分割工具を用いてすくい面摩擦応力分布およびすくい面垂直応力分布を求めることによって、有用な摩擦特性式を得ることができた。 5.以上で得られた特性定数および流動応力特性式、さらにすくい面摩擦特性式を用い、粘弾塑性理論にもとづく有限要素法シミュレーション解析を行ない、これを実験結果と比較検討し、この解析法によって、硬質塩化ビニル樹脂の切削過程の特性を明らかにすることが可能であることがわかった。 なお、他の材料についても、62年度にさらに検討する予定である。
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[Publications] 安味貞正,益子正巳,白樫高洋,臼井英治: 精密工学会誌. 52-9. 1604-1609 (1986)
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[Publications] 帯川利之,安味貞正,白樫高洋,臼井英治: 精密工学会誌. 53-2. 288-294 (1987)