1986 Fiscal Year Annual Research Report
セラミックス球とセラミックス軌道面との転がり摩擦に関する基礎的研究
Project/Area Number |
61550105
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
石川 義雄 埼大, 工学部, 教授 (30008825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大滝 英征 埼玉大学, 工学部, 助教授 (90160522)
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Keywords | 転がり摩擦 / セラミックス球 / セラミックス軌道面 / 摩擦力変動 / 潤滑効果 |
Research Abstract |
本年度は転動体,軌道面を共にセラミックスとした場合、従来用いられている軸受鋼に比べて、転がり摩擦低抗および摩擦挙動がどのような差異を示すのかについて調べるため、単体の球のみによる実験を行い、転がり摩擦発生要因についての基礎資料を得た。実験結果を示すと次の通りである。 1.セラミックスは高剛性材料のため、転がり接触面の幾何学的形状精度、すなわち、表面粗さやうねりが劣ると、接触面の突起などによって生じる衝突を吸収できないので、極めて大きな摩擦力変動が発生する。この摩擦力変動の大きさは摩擦力の大きさに比べ、およそ数倍以上の値を示す。 2.転がり接触面に潤滑油を塗布した場合には、転がり摩擦力は著しく減少するが、うねりなど表面精度に起因する摩擦力変動の大きさはほとんど変わらない。 3.セラミックスは多孔質であるため、潤滑油による転がり摩擦力の減少の程度は、潤滑油の粘度が低い程、その影響は大きく、粘度が18cstの場合には、無潤滑の場合に比べ、およそ1/10に減少する。これは潤滑油の介在によって、表面粗さなどに起因する微小すべりの低減に効果があるものと思われる。粘度が200cstの場合には、粘度が18cstの場合に比べ、転がり摩擦力はおよそ5倍,80cstの場合に比べ、およそ3倍大きくなっている。これは、軸受鋼同士の転がり摩擦の場合と比べ逆の傾向になっている。 4.転がり摩擦力の測定においても、接触面の粗さが劣るほど、測定値にばらつきが生じたが、潤滑油を介在させた場合には、ばらつきは減少し、粘度が小さい潤滑油を介在させた場合には、ほとんどばらつきは生じなくなった。これも、転がり接触面における表面粗さの微小な凹凸面が転がり接触する際に生じる微小すべりの影響といえる。
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