1986 Fiscal Year Annual Research Report
渦後流中の大規模組織構造周辺における乱流エネルギー生成機構
Project/Area Number |
61550118
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 雍宏 北海道大学, 工学部, 助手 (70109487)
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Keywords | 乱流構造 / 後流 / 位相平均 / 回転平板 / サドル / 乱流変形 / 大規模構造 / 渦伸張 |
Research Abstract |
一様流中で薄い二次元平板のスパン方向の中心軸を中心に連続回転させると、この平板の下流には平板の回転に同期した制御された渦列が形成される。この渦列は静止した鈍い物体(たとえば円柱,垂直平板)の渦後流(カルマン渦列)とは異なり、平板1回転に2組の渦対状の構造を有する特殊な流れ場である。本年度は、この渦列の乱流構造の詳細な検討を行った。主要な結果は以下のとうりである。(1)渦後流のサドル近傍における不規則成分(位相平均からの偏差)による乱流エネルギー生成はきわめて小さく、Cantwell&ColesおよびHussainによる提案と一致しない流れ場である。(2)このことは、サドルにおける歪速度は他の位置と比較して十分大きいから、ここでは渦伸張されるべき渦が存在していないことになる。(3)このため、乱流発生格子を用いて主流に乱れを付加したところ、サドル近傍で乱流エネルギーの生成の顕著な増加がみられた。(4)以上のことは、強い歪み速度を持つサドルにおいて乱流エネルギー生成があるためには、渦伸張されるべき渦塊の存在が必要であることを示している。これらの現象は、放出渦の三次元性に依ることも考えられるため、渦後流の三次元測定を詳細に行った。(5)放出渦のスパン方向の相関(スパン方向の二点間の速度相関)は、静止垂直平板のものに比較してきわめて大きい相関を持つ。(6)時計方向に回転する渦はスパン方向にほぼ直線の軸を持つのに対し、反時計方向に回転する渦(渦対の片方)は、スパン方向に曲っている。(7)この渦の湾曲は本実験装置固有のもの(アスペクト比,閉塞比)と思われるが、流れ場に凍結されている(同一位置・同一時刻で同一現象が観測されている)。(8)スパン方向の湾曲部で渦伸張による乱流エネルギーの増加がある。(9)また、短縮部では乱流エネルギーおよび不規則成分の速度相関に減少がみられた。
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[Publications] Y.Suzuki: Proceedings of The Third Asian Congress of Fluid Mechanics.198-201 (1986)
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[Publications] 鈴木雍宏: 日本機械学会論文集(B編). 52-484. 3898-3904 (1986)
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[Publications] 鈴木雍宏: 日本機械学会論文集(B編). 53-487. (1987)