1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61550197
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
三輪 敬之 早稲田大, 工学部, 助教授 (10103615)
|
Keywords | 植物組織培養 / 生体システム / 環境情報 / センサ / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
植物組識培養におけるカルスからの植物体再生に関し、情報システム的な観点から捉えた研究例はほとんど行われていない。そこで、本年度は交付申請書に示した計画に従い、カルスを対象とした刺激応答性計測装置の開発を行った。本試作装置は刺激(環境情報)として磁気ならびにレーザー光を無菌状態でカルス細胞塊の全体あるいは局所的に与えることができる。またカルス全体に振動刺激を与える装置も試作した。刺激に対する応答は4X4点格子状に針電極を配列することによりカルス各箇所の生体電位変化が計測される。とくに磁気刺激応答性装置は全体をカプセル型一体構造とし、長期間の培養と計測を可能にした。さらに、植物体の一枚の葉の微小領域をスポット状に熱あるいは磁気刺激した時の刺激点や葉面内各点の生体電位変化を全自動で計測できる装置もあわせて開発した。上記試作装置により得られた主たる結果は以下の通りである。(1)非刺激状態において、カルス(全てニンジンを使用)の生体電位はほとんど変化しない場合が多いが、計測箇所の違いや時間の経過によりパルス状のサイクリックな変化やランダム状のゆらぎが現れることを見出した。(2)発芽,発根させると生体電位の変化はカルスではほとんど観察されなくなり、芽や根のほうに変化が現れるような傾向があるが、これについては次年度さらに詳しく調べる。(3)20ガウス程度の磁場を毎日11時間カルス全体に与え続けたところ、非刺激下のものに比べ発芽までの時間を大幅に短縮できる可能性を見出した。(4)カルスを磁気刺激した時の生体電位変化はカルス全体に一様に起こらない。すなわち、刺激に対し局所的に反応する傾向がある。(5)植物体の葉の刺激応答性については、刺激点で必ずしも反応せず、別の点で反応することがあることなどから、動物とは異なる植物特有の情報伝達経路あるいは反応様式が存在する可能性がある。また、刺激強度のしきい値が存在する。
|
Research Products
(1 results)