1986 Fiscal Year Annual Research Report
プラスチックの耐トラッキング性試験における基礎現象の解明
Project/Area Number |
61550202
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
河村 鴻允 秋大, 鉱山学部, 助教授 (60006666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能登 文敏 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (20006612)
谷口 敏幸 秋田大学, 鉱山学部, 講師 (00143074)
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Keywords | IEC耐トラッキング性試験法 / トラッキングの破壊 / 基本波にノイズを重畳した波形 / ノイズシュミレータ / ノイズの波高値および波形 / 主成分解析 |
Research Abstract |
本年度はまず、IEC耐トラッキング性試験法に基づく連続課電法、間欠課電法および電子タイマーと電滋タイマーによるノイズの影響について検討した。その結果として、間欠課電は連続課電に比べてトラッキング破壊を促進させ、ノイズは実験値のばらつきを少なくする傾向があることがわかった。次に、試験電圧として本年度講入したノイズシュミレータ(三基電子工業)によって基本波(商用周波240V)の90°の位相位置にノイズを重畳した波形を用いて実験を行なった。それによると、ノイズ電圧が1kV程度までの領域ではトラッキング破壊が促進され、しかも実験値のばらつきを小さくする傾向があることがわかった。一方、ノイズ電圧が1.3kV以上の領域ではトラッキング破壊に至るまでの滴下数が多くなると共に、実験値のばらつきが大きくなる傾向にあることが判明した。これらの原因を究明するため、トラッキング破壊行程、電圧・電流波形の観察および得られた実験値の統計学的な解析を行なった。それによると、基本波に重畳されたノイズ電圧が1kV程度までの領域では、ノイズはトラッキング破壊に有効に働き、それ以上のノイズ電圧の領域ではグロー放電が発生してトラッキング破壊には有効に働かないことがわかった。更に後者の領域では、遊離炭素が電極間に広く形成されるため電界が緩和され、トラッキング破壊が抑制されることもわかった。最後に、ノイズ電圧の波高値および波形の違いによるトラッキング破壊への要因をさぐるため、主成分解析を行なったが、ノイズの波形よりもむしろノイズの波高値の大小がトラッキング破壊に寄与していることが判明した。今後は、基本波に重畳するノイズの位相を各種変えた上で、基礎データを収集し、それらの解析を行なった後、ばらつきの少ない耐トラッキング性試験法の設計および試作を行なう予定である。
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[Publications] 佐藤忠雄,能登文敏,河村鴻允,谷口敏幸,松井清: 電気学会 電気関係学会東北支部連合大会. 2C-18 (1986)
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[Publications] 河村鴻允,谷口敏幸,能登文敏: 電気学会論文誌.