1986 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気生物(メタン発酵菌および脱窒菌固着)膜による下水高度処理法の基礎的研究
Project/Area Number |
61550391
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
黒田 正和 群大, 工学部, 教授 (40008446)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 豊 群馬大学, 工学部, 助手 (80143204)
湯沢 恩 群馬大学, 工学部, 助教授 (30023328)
|
Keywords | メタン発酵 / 脱窒反応 / 3次処理 / 固着生物膜 / 硝酸イオン阻害効果 / CN同時除去 / 化学的環境因子 |
Research Abstract |
メタン発酵菌及び脱窒菌が共生し増殖するための化学的環境因子の検討を行った。実験はメタン発酵菌固着膜槽及びメタン発酵菌及び脱窒菌混合固着膜槽に、合成排水(グルコースと無機塩の水溶液に【NaNO_3】を種々の濃度で添加)を回分あるいは連続供給し、【NO(_3^_)】濃度によるメタン及び窒素ガス発生速度,処理水pH,酸化還元電位(ORP)等の変化を測定した。【NO(_3^_)】減の、グルコース及び酢酸消費の各速度の比較検討より、次の結果が得られた。 1.メタン発酵菌固着膜槽のメタン発酵菌に対する【NO(_3^_)】の影響 メタンガス発生速度は【NO(_3^_)】≒50mg/l以下では【NO(_3^_)】に影響されないが、【NO(_3^_)】≒50mg/l以上では【NO(_3^_)】の濃度の上昇につれ減少する。【NO(_3^_)】≒200mg/lにおけるメタンガス発生速度は【NO(_3^_)】≒50mg/lのそれの略1/4である。が、TOC除去率ORP,pHの変化は非常に小さく、【NO(_3^_)】によるメタン発酵菌の阻害についてはさらに検討が必要である。 2.【NaNO_3】を含む合成排水で馴養したメタン発酵菌及び脱窒菌混合固着膜槽のメタン発酵菌に対する【NO(_3^_)】の影響 c/N=3以上では、$$NO(_3^_)$$=1800mg/lでもメタンガス発生速度は$$NO(_3^_)に影響されない。c/N値が小さい場合、$$NO(_3^_)$$の濃度の上昇につれメタンガス発生速度の減少は著しい。c/N=5において、ORPは$$NO(_3^_)$$の濃度の増加につれ-50mV程度まで上昇するが、pHの変化は小さく(6.8〜7.5)、TOC除去率も90%余である。$$NO(_3^_)$$の還元速度は、酸生成菌によるグルコース消費速度に比べ非常に遅いが、メタン菌による酢酸消費速度よりやや速い。 3.c/N値が小さい場合の【NO(_3^_)】濃度の上昇によるメタンガス発生速度の低下は、【NO(_3^_)】によりメタン菌が阻害されることによるものではなく、メタン生成と脱窒反応とが競争的反応であることによるものである。水素供与体が酢酸の場合、c/N=1.43mg-c/mg-Nである。
|