1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61550403
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細川 洋治 東大, 工学部, 助手 (60011235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 博之 東京大学, 工学部, 教授 (80010669)
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Keywords | 震害 / 開口壁の開口低減率 / 建築学会RC規準 / 開口補強筋 / せん断破壊 / じん性 / せん断補強筋 / 有限要素法 |
Research Abstract |
本年度は試験体の設計,製作,実験準備を主に行った。試験体の設計にあたり、過去の地震被害写真の分析,実験データ検討等の文献調査を行った。文献的研究(1)被害写真の分析:震害を受けた建物の被害写真から、開口を有する壁の被害は、開口隅角部の斜めひび割れが、開口横の短柱状部分のせん断ひび割れの二つに大きく分けられる。この中で、開口隅角部にひび割れが見られる建物は、建物全体の被害としては軽微ななものが多い。開口横のせん断ひび割れが生じている建物では、壁板としての機能を失っているものが多く、建物全体が大被害を受け、構造物としても大破・中破程度の被害となっている。(2)実験データの分析:古くは富井の純せん断モデルによる実験をはじめ、山田,望月,電々公社,最近の野村,徳広の実験などかなり多数見られる。その多くは実験・解析とも開口を有することによる強度低減率など、強度に関する研究である。従って補強の方法にはあまり着目せず、開口の大きさ、開口の位置の影響に関するデータが主となっている。文献に示されている実験結果から、学会RC規準程度に補強された試験体の挙動は、初めに開口隅角部にひび割れが見られ、荷重の増大にともない開口横にせん断ひび割れが発生し、破壊は開口横(壁板の最小断面位置)のせん断破壊となっているものがほとんどである。有限要素法による弾性解析を行い、壁板内の応力分布を検討し、開口位置決定の参考にした、ひき続き解析を行っている。本研究で考えているじん性能のある壁を目ざすには、被害写真,実験データから考えて、現規準では行っていない、開口横のせん断補強が重要であると判断し、試験体を作成した。縮尺は1/3とし、合計3本である。現在、測定治具の製作,加力治具の整備などの実験準を行っており、当初考えていた計画通りに進んでいる。
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