1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61550451
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 勝彦 名古屋工大, 工学部, 助教授 (50049706)
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Keywords | ネパール / 建築 / 銘文 / 年代記 / 保存 / 中庭型建築 / 塔型建築 / 方杖 |
Research Abstract |
ネパールににおいて保存すべき建築を絞り込むために必要な史料的検討を行なうのが、この研究の目的である。そこでまず、ネパール建築の総体を把握するため、現存する建築502棟ののデータ;建築名・年代・所在地・宗教・祭神・建築形式・修理・銘記・方杖を台帳としてデータ・ファイルした。ここに銘文・年代記に見い出される記録を登録する。今年度、史料の収集・抽出の対象としたのは次のとおりである。 (1)HANUMANDHOKHA RAJADARBAR (2)HISTORY OF NEPAL TRANSLATED FROM PARBATYA (3)INSCRIPTIONS OF ANCIENT NEPAL (4)MEDIEVAL NEPAL (なお、ABHILEKHA SAMGRAHAについては、ネパールから取り寄せ中である。)これらの史料のうち、ネワール語などのものはネパールの研究者の協力を得て解読を進め、英文に訳読されているものと併せて整理した。この整理にもとずいて、上記建築のデータ・ファイルに記事をストックした。 今年度の整理の結果明らかになった点は、まずネパール建築をデータ・ファイルする場合に総体を形態から中庭型建築と塔型建築、機能から仏教僧院・王宮・寺院に分類してよいこと、収集した資料のうち最も遡るものは、リッチャビ朝のものであること、意匠上重要な意味を持つ方杖の銘は、建築構成の意味を理解するうえでのキイ・ワードとなりうること、などである。 次年度への課題としては、資料の集積をさらに図るばかりでなく、すでに失なわれた建築をデータ・ファイルに加え、そのうえで保存の基盤となる建築史の構築を試みる必要が挙げられる。
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