1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61550477
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大塚 和弘 筑大, 物質工学系, 教授 (50029881)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 修一 筑波大学, 物質工学系, 講師 (50133038)
|
Keywords | マルテンサイト変態 / 結晶学 / 格子不変変形 / 現象論 / 第【II】種双晶変形 |
Research Abstract |
マルテンサイト変態の機構に関しては、「現象論」と呼ばれる優れた結晶的理論があり、多くの合金系に適用されたが、理論と実験との詳細な比較を行うと、すべての点で良い一致の得られるのは極めてまれで、現象論の適用性に疑問が持たれていた。しかし我々は最近、現象論の適用に当っては、入力の情報としての格子不変変形の選択に問題のあることに気付いた。すなわち従来格子不変形としての双晶は第【I】種と信じられてきたが、我々は最近Cu-Al-Ni合金の【r'-1】マルテンサイトの中の格子不変変形としての双晶は第【II】種であることを見出した。そこで【<III>_(r'-1)】第【II】種双晶を格子不変変形として現象論の計算したところ、晶癖面は第【I】種でも第【II】種でも極めて近いことが明らかになった。一方双晶面【K_1】の方位は、第【I】種と第【II】種で大きな相違のあることが明らかになった。次に現象論の計算結果と実験値の比較を行うため、Cu-Al-Ni合金の単結晶をブリッジマン法で作製し、応力誘起変態の手法で単一のマルテンサイトの兄弟晶を誘起し、結晶学的パラメータとしての、晶癖面,【K_1】面法線,結晶方位関係,形状戴を精密に測定した。この結果を、上記現象論の計算結果と比較し、あらゆる点で理論と実験の間に極めてよい一致のあることが明らかとなった。更にこの結果の一般性を確かめるため10本の単結晶試料について晶癖面と【K_1】面の測定を行ったが、結果はいずれも第【II】種双晶の結果と一致し、Cu-Al-Ni合金における格子不変変形は第【II】種双晶であることが確立された。この結果は又、格子不変変形を正しく選べば、現象論が極めて有効な理論であることをも示している。尚この研究を通して精密な結晶方位関係の決定法をも開発した。Au-Cd合金についても同様の研究を行っているが、今の所格子不変変形は第【I】種と第【II】種という二つの異なる結果が得られており、まだ結論を下す段階にない。次年度更に多くの試料について研究を行っていく必要がある。
|
-
[Publications] K.Okamoto;S.Ichinose;K.Morii;K.Otsuka;K.Shimizu: Acta Metallurgica. 34. 2065-2073 (1986)
-
[Publications] K.Otsuka: Proceedings of International Conference on Martensitic Transformations(ICOMAT-'86). (1987)