1986 Fiscal Year Annual Research Report
正則溶液モデルによる製鋼過程でのマンガン分配の解析
Project/Area Number |
61550487
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
日野 光兀 東北大, 工学部, 助手 (10091729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萬谷 志郎 東北大学, 工学部, 教授 (90005223)
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Keywords | 正則溶液モデル / マンガン分配 |
Research Abstract |
鋼の機械的性質向上のため添加するMn源として、最近高価なFe-Mn合金を使用せず、より安価なMn鉱石を転炉に装入し、直接還元する操業が行われ始めた。この時Mn歩留を向上させるため経験的に高温にし、スラグ中の(T.Fe)を低下させ、塩基度を高めるなどの操業が行われている。しかし現在のところ多元系スラグと溶鉄間のMn分配をスラグ組成と温度の関数として定式化した研究は見当らない。 申請者はこれまで多元系スラグに正則溶液モデルを適用し、各成分活量、スラグ中【Fe^(8+)】/【Fe^(2+)】比などの算出に成功し、スラグ-溶鉄間のOとPの分配をスラグ組成と温度の関数として定式化することに成功した。そこで本研究でもMnOを含むスラグと溶鉄間のMn分配平衡に正則溶液モデルを適用して定式化することを目的として、本年度は以下の実験を行った。 スラグ-溶鉄間のMn分配を考える際に基本となるFetO-Si【O_2】-MnO系スラグへMxOy〈MxOy=CaO,MgO,【Na_2】O,【P_2】【O_5】)を添加した配合試料を純鉄坩堝中に装入し、【H_2】O/【H_2】混合ガスとの間の化学平衡を、CaO,MgO添加系では1450℃で、【Na_2】O,【P_2】【O_5】添加系では1400℃で測定した。その測定結果の【Fe^(3+)】/【Fe^(2+)】平衡とFeO/Fe平衡に正則溶液モデルを適用し、【Mn^(2+)】-【O^(2-)】-【Me^(z+)】(【Me^(z+)】=【Ca^(2+)】【Mg^(2+)】,【Na^+】,【P^(5+)】)間の相互作用エネルギー値を求めたところ、それぞれ次の値を得た。 【α-(Mn^(2+))】-【O^(2-)】-【Ca^(2+)】=-22,000cal 【α-(Mn^(2+))】-【O^(2-)】-【Na^+】=+19,000cal 【α-(Mn^(2+))】-【O^(2-)】-【Mg^(2+)】=+14.800cal 【α-(Mn^(2+)】-【O^(2-)】-【P^(5+)】=20,300cal」この実験と並行して、既報で申請者が正則溶液モデルから各成分の活量を算出したFetO-Si【O_2】-MnO系スラグと溶鉄を、自製のMnO坩堝内でAr雰囲気下1550°〜1650℃で溶解し、平衡に達せしめた。その測定から得られたMn分配平衡が正則溶液モデルで定式化できるかを検討したところ、wt%Si【O_2】>10で十分モデルと整合することが判明した。
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[Publications] 萬谷志郎: 鉄と鋼. 72. S223 (1986)
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[Publications] 萬谷志郎: 鉄と鋼. 72. S936 (1986)
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[Publications] 萬谷志郎: 日本学術振興会製鋼第19委員会. 19委-10748. 1-21 (1986)