1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61550492
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 吉哉 東京大学, 工学部, 助手 (00092247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 信雄 東京大学, 工学部, 教授 (50010749)
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Keywords | シリコン純化 / 太陽電池基板 / フラックス処理 |
Research Abstract |
62年度は粗金属シリコンに含まれる不純物の中で, りんと並んで除去が困難とされているボロンに焦点を絞り, その除去に関する一連の調査を行った. 具体的には, 脱ボロン挙動をより鮮明にさせる目的で, 調査対象シリコンとして, 高純度シコン(純度99.9999%)に金属ボロン(純度99.8%)を添加し, ボロン濃度を通常の金属シリコンに含まれる濃度の4〜10倍程度(100〜300ppm)に予め調整した試料を用い, それとアルカリ土類金属化合物主体の珪酸塩フラックス(CaO-SiO_2系, MgO-CaO SiO_2系, BaO-CaO-SiO_2系の3種類)とを同量(それぞれ10g)黒鉛るつぼ内で接触溶媒させ, 溶解温度, 溶解保持時間, 雰囲気ガス組等を適宣変えてメタル中ボロンの低減挙動を調べた. その結果, 上記フラックス種の相違ならびにメタル中ボロンの初期濃度の相違によらず, メタル中のボロンは溶解後1〜2時の間で急激に減少し, その後は一定濃度, すなわち平衡状態に到達することが知られた. その平衡状態におけるメタル中ボロンの低減率はフラックスの種類, 塩基度, 溶解温度, 雰囲気の酵素分圧の違いによって異なるが, これまでの調査では32%Bao-26%CaO-42%SiO_2からなるフラックスを用い, 1465°Cで溶解したさいの約73%が最大値として得られた. 各フラックス間の脱ボロン能の優劣については更に系統的な補充調査を待って判断すべき段階におるが, 他の条件を一定にし, MgOとBaOだけが異なる実験の比較で, 予想に反して塩基度の点でより低い前者のフラックを使用した方が高脱ボロン率を示すことから, 脱ボロンの反応機構が単純ではないことがわかった. このほか, 溶解温度や雰囲気ガスのCO_2濃度を変えた実験で温度が高く, CO_2濃度の高いほど脱ボロン率も向上する傾向見られたが, 後者の影響についてはさらに追加実験を行い, その普遍性の確認と併せて定量的把握が必要と思われる.
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