1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61550504
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
今林 守 茨城大, 工学部, 教授 (10007601)
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Keywords | リチウムを含むアルミニウム合金 / 水素ぜい性 / アルミニウム-リチウム合金の溶解鋳造 / アルミニウム-リチウム合金の機械的性質 |
Research Abstract |
溶解奮囲気を自由に調節できる溶解・鋳造装置(小型オートクレーブ)を作成し、予備実験も含めて計15回の溶解鋳造実験を行った。得られたAl-Li合金鋳塊(Li含有量1.36〜2.42mass%)は圧延加工を施した後、引張試験片に加工し、引張試験に供した。なお、一部の鋳塊については、引張試験に至る途中の過程で水素分析を行い、水素と引張試験結果との関連を追求した。現在までに得られた成果の概要は次のとおりである。 1.アルゴン雰囲気中で溶解鋳造を行っても、添加したLiの合金中への歩留には84%程度である。 2.超高純度アルゴン雰囲気中で溶解鋳造しても、鋳塊中には0.5〜1.2cc/100gの水素が含まれる。これは通常のアルミニウム合金中に含まれる水素量の2〜6倍に相当する。 3.アルゴンと水素1:1の混合ガス雰囲気中で溶解鋳造した鋳塊は水素脆化のため熱間でも圧延不可能である。 4.板厚約5mmに圧延した試料を2kgf/【cm^2】の水素雰囲気中で540℃×1hr保持して1〜3.4cc/100gの水素を吸収させた試料は明らかに脆化し、耐力および引張強さは上昇するが伸びは著しく減少する。(引張り破断面のSEM像は粒間脆性破面を提する)例えば、試験片に加工後アルゴン中で540℃×1hrの焼鈍を施した試料Al-2.2mass%Li)の0.2%耐力,引張強さ,伸びさ,それぞれ4.1kgf/【mm^2】,13.8kgf/【mm^2】,17%であったのに対し、上記の水素添加処理を施した試料については、それぞれ12.1kgf/【mm^2】,18.1kgf/【mm^2】,5.0%であった。 今後の課題として、水素量を低くおさえる溶解法の検討とともに、水素脆化が顕著になる水素含有量の"しきい値"をLi含有量との関連も含めて明らかにする必要を認めた。
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