1986 Fiscal Year Annual Research Report
単ロール及び双ロール法により作製した急冷凝固鋼板の組織と機械的性質に関する研究
Project/Area Number |
61550530
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅本 実 京大, 工学部, 助手 (90111921)
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Keywords | 急冷凝固 / 単ロール / ステンレス鋼 / 組織 / 電子顕微鏡 / 競合凝固 / 鉄系合金 |
Research Abstract |
本研究は近い将来その実用化が期待されている薄比連続鋳造プロセスによって作製される鋼材の材料としての特徴についての基礎的知見を得ることを目的としている。つまり、凝固およびその後の冷却過程における固相変態での組織変化を明らかにし、組織と機械的性質の関係の定量化を計ることを目指している。 初年度である61年度は主としてFe-Cr-Ni系3元合金を使って単ロール急冷凝固法による実験をおこなった。方法としては組成の異なる約30種のFe-Cr-Ni合金を用いて、ロール周速を変化させ板厚0.03〜0.2mmの種々の急冷凝固リボンを作製した。得られたリボンをX線,フェライトスコープ,光顕,電顕により観察し、急冷凝固により得られた相と合金組成,冷却速度(リボン厚さ)との関係について調べた。さらに本科学研究費で購入した画像解析装置により粒径を測定した。得られた主な結果は次のとおりである。 1.試料の板厚はロール周速の-0.6乗に比例する。 2.凝固ままの組織はα単相,(α+γ)2相,γ単相のいずれかである。(α+γ)の2相となる組成範囲は液相面の谷よりCr側に存在する。 3.αとγの割合は狭い組成範囲で変化する。特に板厚が30μmの場合には0.2%の組成の違いで主な相が変化する。 4.板厚が厚い場合は結晶粒径は合金組成によりあまり変化しないが、板厚の薄い場合(α+γ)の2相混合組織のとき粒径は最も細かい。 5.板厚の薄い場合αからγへ相が変化する組成でαとγの凝固核が同時に生成する現象が初めて見い出された。これを競合凝固と名づけた。 62年度は凝固後の固相変態を伴う合金系について詳しく研究する予定である。
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