1986 Fiscal Year Annual Research Report
V⊇(SiN)及びV⊇(SiC)系化合物超電導体の作製と特性評価の研究
Project/Area Number |
61550533
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐治 重興 阪大, 工学部, 助教授 (60029072)
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Keywords | 【V_3】Si系超電導化合物 / 窒素添加 / 炭素添加 / ボロン添加、臨界温度の向上 / 格子定数の低下 / 規則度 |
Research Abstract |
研究目的;優れた超電導特性を有するA15型化合物の一つである【V_3】Si相中のSi原子の一部をN,C,Bなどの原子半径の小さい元素で置換した【V_3】SixNg)系,【V_3】(SixCy)系,【V_3】(SixBy)系化合物を作製し、臨界温度Tcのより高い超電導体を開発するとともに、A15型化合物超電導体のTcに影響をおよぼす重要な因子を実健によって明確にする。 研究成果:Si濃度(20〜25at%)が種々に異なる【V_3】Si相化合物を低圧アルゴンガスプラズマ溶解炉中で溶製した後アルゴン-窒素混合がスプラズマを定常的に発生させる条件を確立させることは困難であった。また、タンタル電極の窒化による脆化がはげしく、この方法で必要な量の試料を得ることはできなかった。そこで、【V_3】Si相化合物にカーボン粉末あるいはボロンの小塊を添加し、低圧アルゴンガスプラズマ溶解を行った。得られたボタン状インゴットから切り出した【V_3】(SixCy)系試料および【V_3】(SixBy)系試料のTcはSi濃度が同じ場合、二元素【V_3】Si相のTcより約1Kから5K高い値であった。二元系試料に対するTcの上昇量はV:Si比が3:1の化学量論組成に近い程小さく、Si濃度約20at%の【V_3】Si相に約0.2at%のBが固溶した場合には約5Kの上昇がみられた。また、Cが少量固溶した試料の方が高いTcを示した。 一方、少量の炭素やボロンが固溶した【V_3】Si相の格子定数はこれらの元素を含まぬ二元素【V_3】Si相の格子定数に比べてSi量が同じ場合常に小さいことが明らかとなった。さらに、【V_3】Si相中のSi量が化学量論組成から減少するにつれ格子定数は増大し、Tcは減少するが、CやBが固溶した試料ではSi量の減少に伴う格子定数の増大傾向が小さくTcの低下も小さいことが明らかとなった。また、CやBの固溶による規則度の低下に起因するTcの低下量は格子定数の低下に起因するTcの向上量より小さいことが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)