1986 Fiscal Year Annual Research Report
水中の有害微量元素のキャラクタリゼーションのための新しい吸着分離法の開発
Project/Area Number |
61550556
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平出 正孝 名大, 工学部, 講師 (20111833)
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Keywords | 水分析 / キャラクタリゼーション / 吸着分離 / 重金属元素 / フミン物質 |
Research Abstract |
河川水や湖沼水中にはフミン物質(フミン酸やフルボ酸)が普通存在し、いくつかの有害重金属元素と安定な錯体を生成し、重金属元素の地球化学的,生物学的挙動に大きな影響を与える。このフミン錯体を定量するには予め濃縮し、かつ種々の共存化学種から分離する必要があるが、現在回収率、選択性ともに優れた分離濃縮法は見当たらない。例えばスチレンジビニルベンゼン共重合体アンバーライトXAD-2樹脂は、フミン錯体と一緒に重金属陽イオンも吸着する問題がある。そこで本研究では、XAD-2樹脂を粉砕して比表面積を著しく増加したのち、インジウム溶液に浸し、陽イオンの吸着点をインジウムイオンで飽和させることを試みた。この樹脂カラムを用いることによりフミン錯体は定量的に捕集され、一方重金属の陽イオンや陰イオン,EDTA錯体,含水酸化物コロイドなどはカラムを素通りした。本吸着法と黒鉛炉原子吸光法とを組み合わせることにより、河川水中のpptレベルのフミン錯体を定量することができた。 さらに陸水中のフミン酸のキャラクタリゼーションのための新しい分離濃縮法を開発した。即ち低ppm〜ppbレベルのフミン酸を水酸化鉄(【III】)共沈法で捕集したのち、界面活性剤を添加して気泡とともに沈殿を液面に浮上分離した。この沈殿を希塩酸に溶解したのち、限外〓過(分画分子量10,000)を行い、フミン酸を膜上に回収した。鉄(【III】),界面活性剤,その他低分子量の無機,有機物質は〓液中に除去できた。フミン酸は0.1M水酸化カリウム溶液に超音波を照射して溶解後,吸収曲線,分子量分布,錯形成能力などを調べた。 現在、無機コロイドと有機コロイドの相互作用について、巨大網目構造陰イオン交換体セファデックスA-25を用いて研究中である。
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