1986 Fiscal Year Annual Research Report
電子セラミックス焼結体の微細構造に及ぼす成形体中の気孔構造の影響
Project/Area Number |
61550581
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木村 敏夫 慶応大, 理工学部, 講師 (70090040)
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Keywords | 焼結 / 気孔の構造 / アルミナ / フェライト |
Research Abstract |
1.pHの異なるアルミナ-水系サスペンションを泥しょう鋳込み法により作成した成形体中の気孔構造と焼結挙動の関係を明らかにした。アルミナ粒子の凝集の程度はサスペンションのpHに依存し、凝集の程度が大きくなるほど成形体中の気孔の量および径は大きくなった。緻密化速度は気孔の量および径に依存し、それらが大きいほど所定の密度に達するのに高温・長時間の加熱を必要とした。一方、密度と結晶粒径の関係は成形体中の気孔の量および径には依存しなかった。 2.アルミナ粉体にいろいろな大きさの球状ポリマー粒子を添加した系では、広い範囲の大きさの気孔を持つ成形体が作成できた。0.5μm以上の径の気孔が導入されると緻密化速度が小さくなり、また到達最終密度も小さくなった。密度-結晶粒径の関係も導入した気孔の大きさに依存するようになり、大きい気孔を持つ成形体ほど低密度で結晶粒径が増加した。以上のことから、アルミナでは0.5μm以上の気孔は焼結によっては消滅しないことを見出し、高密度の焼結体の作成に要する成形体の性質を明らかにした。 3.針状フェライト粒子を加圧あるいは押し出し法により作成した成形体では気孔の形態が異なることを水鍍ポロシメトリーのヒステリシスの測定およびSEM観察により見出した。押し出し法により作成した成形体では気孔は円柱に近い形態をしているが、加圧法で成形したものの気孔の形態は複雑であった。焼結の進行にともない、緻密化に加え粒子の形態が等軸状に変化したが、気孔の形態は成形体のそれとほぼ同様であった。加圧法で作成した成形体の方が低密度で閉気孔が生成したが、緻密化速度は大きいことを見出した。気孔の形態の緻密化速度に及ぼす影響をさらに明確にするために、針状フェライトについて検討を加える他に、針状酸化鉄についても同様の実験を行なっている。
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Research Products
(2 results)