1986 Fiscal Year Annual Research Report
空孔内デザインによるγ-シクロデキストリンのTailor-Madeホスト化
Project/Area Number |
61550585
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上野 昭彦 東北大, 薬学部, 助教授 (50091658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安斉 順一 東北大学, 薬学部, 助手 (40159520)
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Keywords | シクロデキストリン / 包接化合物 / 会合 / ホスト-ゲスト / アントラセンの光二量化 / エクシマー |
Research Abstract |
本研究課題では、γ-シクロデキストリン(γ-CD)の疎水性修飾残基が、γ-CDの大きな空孔を狭くするスペーサーとして機能することを利用してγ-CDの残余空隙の大きさを調節することを意図している。この目的を達成するためには、スペーサー残基の大きさとゲスト包接挙動の相関を検討する必要がある。そこで、スペーサー残基として、大きさの異なるナフタレン,アントラセン,ピレン修飾γ-CDを合成した。それらの蛍光,円偏光二色性,紫外スペクトル等による測定の結果は、それら修飾γ-CDが2分子会合することを示している。その会合の程度は、芳香環が大きくなる程顕著であった。会合傾向の強いピレン修飾γ-CDでは、広い濃度範囲で顕著なエクシマー蛍光が観察され、2個のγ-CD単位で構成される長い円筒状空洞に、2個のピレン残基が収容されていることが明らかとなった。この系では、温度の上昇,ゲストの添加,有機溶媒の存在等によってエクシマー蛍光の強度は弱まり、対応して通常けい光の強度が増大した。アントラセン修飾γ-CDの場合は、そのスペクトル特性を明らかにするため2個のアントラセン残基で修飾されたγ-CDを合成した。このγ-CD誘導体は、光照射によりアントラセンが分子内光二重化を起こす。分子内架橋したこのγ-CD誘導体では、アントラセン二重体がγ-CDの空孔を占拠し、ゲスト包接能力が消失している可能性がある。現在、この光によるホストの生から死への変換について、応用も含めて詳細な検討を行なっている。修飾γ-CD系についての分子会合の理解は、スペーサー効果による空隙デザインの実現のためにも必要と思われるので、これらの系について各種熱力学パラメーターを求める予定である。
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[Publications] Akihiko Ueno: Bull.Chem.Soc.Jpn.59. 465-470 (1986)
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[Publications] Akihiko Ueno: Bull.Chem.Soc.Jpn.59. 3109-3112 (1986)
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[Publications] Fumio Moriwaki: Chem.Lett.1865-1868 (1986)
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[Publications] Akihiko Ueno: Chem.Pharm.Bull.34. 438-441 (1986)
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[Publications] AKihiko Ueno: Tetrahedron. (1987)
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[Publications] Fumio Moriwaki: Bull.Chem.Soc.Jpn.