1986 Fiscal Year Annual Research Report
微粒子触媒のポリマー中への包埋固定化とその触媒性能
Project/Area Number |
61550600
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鹿川 修一 長崎大, 工学部, 教授 (80037746)
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Keywords | 水素化 / 脱水素 / シリコーンゴム包埋触媒 / シリコーンゴム中の物質移動 / アセトンの水素化 / 2-プロパノールの脱水素 |
Research Abstract |
水素化、脱水素などの液相反応では微粒子触媒が懸濁状態で用いられる。本プロセスでは、反応終了後、反応液と触媒との分離操作が必要であるが、もし触媒をその活性を損なうことなくポリマー等に固定化できれば、触媒の回収,再使用が容易になるのみならず、固定層型の連続式反応操作や高価な貴金属触媒の使用も可能となる。本研究では、シリコーンゴムなどのゴム状ポリマーが無孔質にもかかわらず高い物質透過能を有することに着目して、ゴム状ポリマー中に微粒子触媒を分散、固定化する方法を検討し、その触媒性能を明らかにすることを目的とする。 まず本研究を遂行するに適したモデル反応系を探すことから始め、以下の知見を得た。(1)Pd炭素触媒による2-プロパノールの脱水素は50゜C以下では進行しない。(2)ラネ-Niによる2-プロパノールの脱水素は40゜Cで進行する。しかし触媒をシリコーンゴムあるいは天然ゴムに包埋すると反応は起らない。(3)アセトンの水素化は非包埋およびシリコーンゴム包埋のラネ-NiおよびRu炭素触媒で進行する。(4)ラネ-Niの触媒活性は【O_2】に極めて敏感で、再現性あるデータを得ることが困難であるが、酒石酸で修飾することにより再現性が向上する。以上の結果より酒石酸修飾ラネ-NiおよびRu炭素触媒によるアセトンの水素化をモデル反応に選び、以下の結果を得た。(1)触媒をシリコーンゴム(脱オキシム型)に包埋することにより、反応速度はラネ-Niの場合で約1/30に、Ru炭素の場合で約1/20に低下する。(2)いずれの場合も、包埋触媒のサイズを変えても反応速度はほとんど変わらない。(3)反応物成分(アセトン,水素,2-プロパノール)のシリコーンゴム中の溶解度および拡散係数より触媒有効係数を推算すると約1である。(4)これらの結果より拡散過程は律速段階ではないことが示唆された。今後、反応の選択性に対するシリコーンゴム包埋の影響を調べる予定である。
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