1986 Fiscal Year Annual Research Report
炭酸ガス存在下,ニクロム酸ナトリウムによるビナフチル誘導体側鎖の選択的酸化反応
Project/Area Number |
61550609
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮野 壮太郎 東北大, 工学部, 助教授 (60005501)
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Keywords | ビナフチルカルボン酸 / 軸不斉ビナフチル誘導体 / ニクロム酸酸化 / 不斉識別 / 不斉誘導化試薬 / 1-ブロモ-2-ナフトエ酸 / 1-ブロモ-2-メチルナフタレン |
Research Abstract |
軸不斉ビナフチル誘導体は高選択的不斉誘導因子として近年需要が増している。本研究では、これらの有用な出発原料となるビナフチルカルボン酸の実用的合成法の確立,その光学分割、および不斉識別への応用について検討し、以下の成果を得た。 1.研究計画に従ってグリニヤール試薬のクロスカップリングにより、2-メチルビナフチル類を得る方法を確立した。 2.これらを炭酸ガス存在下、ニクロム酸ナトリウムにより側鎖メチル基の直接酸化を種々検討し、以下の結論に達した。(1)2,2′-ジメチルビナフチルの酸化では、モノ,およびジカルボン酸をそれぞれ26%,22%の収率で得た。モノカルボン酸の合成は従来数工程を要し、収率も20%程度であったことから、本方法は従来法に優るものである。(2)立体的にかさ高い2-メチルビナフチル類の高温直接酸化では、ナフタレン環の酸化分解も併発することから、上記(1)以上の収率向上は困難である。 3.1-ブロモ-2-メチルナフタレンの直接酸化により、上記ジカルボン酸製造原料となる1-ブロモ-2-ナフトエ酸を一段階で得た。 4.上記2を考慮し、側鎖メチル基のブロム化を経由する遂次酸化法を検討し、満足すべき収率でビナフチルカルボン酸類を得る方法を確立した。 5.これらのカルボン酸のうち、2-メトキシ-1,1′-ビナフチル-2′-カルボン酸がメントールエステルとすることにより、容易に光学分割できることを見い出した。 6.上記メトキシカルボン酸は、不斉アルコールやアミンとエステル,アミドを形成した場合、優れた不斉識別能を有することが分った。今後は、核磁気共鳴スペクトル,高速液体クロマトグラフにおける不斉誘導化試薬としての応用を検討する予定である。
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[Publications] Sotaro MIYANO: J.Chem.Soc.,Chem.Commun.
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[Publications] Sotaro MIYANO: The Technology Reports of the Tohoku University.