1986 Fiscal Year Annual Research Report
高原子価ルテニウム触媒によるキノリン類の液相酸化反応
Project/Area Number |
61550614
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
原 孝夫 横国大, 工学部, 助教授 (10017999)
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Keywords | キノリン酸 / シンコメロン酸 / 高原子価ルテニウム触媒 / キノリンの酸化開裂反応 |
Research Abstract |
キノリンは水溶液中の水酸化物イオン濃度が0.41M以上存在すると、触媒量の【〔Ru0_4〕^-】(吸収極大385nm)によって速やかに酸化開裂され定量的にキノリン酸(ピリジン-2.3-ジカルボン酸)を生成した。助酸化剤として消費される次亜塩素酸イオン量はキノリンに対して約8.3モル倍であり、キノリン1分子に対して炭素4原子が酸化された量に相当する。キノリン酸の生成に伴い水溶液中の水酸化物イオン濃度は低下するが、その値が0.41M以下になると急激なキノリンの転化及び次亜塩素酸イオンの消費がみられ、その時点まで生成していたキノリン酸も速やかに消失するのが観察された。その際水溶液中のRu(【VII】)に帰属される385nmの吸収も消失しており、触媒種がRu【O_4】(Ru(【VIII】))へと変化すると芳香族環が【CO_2】へと完全酸化されることを示唆している。種々のキノリン誘導体及びナフタレン誘導体を同様な条件下で酸化した。酸化基質が固体の場合もあるため、すべての基質をクロロホルムに溶解して反応をクロロホルム-水系で行った。反応は上述したように水溶液中の【〔Ru0_4〕^-】によって進行するので、クロロホルムの存在によって酸化反応速度は低下する。キノリンの場合、反応速度は1/77に低下した。水酸基やメトキシ基のような強い電子供与性の官能基を有するキノリン誘導体は極めて酸化され易く、定量的にキノリン酸を与えた。とくに8-キノリノールはクロロホルムを含む二相系での反応にもかかわらず、反応3分で約80%の収率でキノリン酸を与えた。電子吸収性の官能基を有する誘導体は酸化速度の極端な低下がみられ、1-ニトロナフタレンは反応が進行しなかった。イソキノリンはベンゼン環及びピリジン環が3.2:1.0の比で酸化開裂して、それぞれシンユメロン酸(ピリジン-3.4-ジカルボン酸)とフタル酸を与えた。シンコメロン酸の新しい合成法としても興味深い。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 原孝夫: 第23回石炭科学会議発表論文集. 1986. 359-361 (1986)
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[Publications] 原孝夫: 化学工業. 37. 390-396 (1986)
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[Publications] T.Hara: "Long-Term Storage Stabilities of Liquid Fuels" Southwest Research Institute, 926 (1986)
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[Publications] M.Yudasaka: "Synthetic Metals" Elsevier Sequoia S.A., (1987)