1986 Fiscal Year Annual Research Report
超音波照射によって生成する有機スズ化合物を中間体として用いる付加環化反応
Project/Area Number |
61550619
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
蜷川 彰 阪大, 工学部, 助教授 (10029051)
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Keywords | 超音波照射反応 / 有機スズ化合物 / テトラヒドロピラン |
Research Abstract |
超音波を用いる合成反応は不均一系反応に有効に働くことより、有機合成化学における新手法として最近、その研究が活発になってきた。たとえば、ハロゲン化アリルとアルデヒドとの反応からホモアリルアルコールを合成する反応は種々の改良が試みられ、スズ粉を用いて超音波照射を行うと好収率で目的物が得られる。本研究では金属スズ存在下、臭化アリルにベンズアルデヒドを加え、超音波照射を行うと、臭化アリル1分子とベンズアルデヒド2分子で付加環化した生成物、すなわち、4-ブロモ-2,6-ジフェニルテトラヒドロピランと2,6-ジフェニル-4-オキソテトラヒドロピランが、one patで生成することを見いだした。 本反応におけるモル比や反応溶媒などの諸条件ならびに基質の置換基の影響について検討した。反応溶媒の影響は大きく、無溶媒の場合には、上記の2種のピラン化合物のみが生成したが、溶媒を用いると、いずれの場合にもホモアリルアルコールが副生した。また、主生成物の4-ハロテトラヒドロピラン化合物はベンゼン>クロロホルム>n-ヘキサン>ベンゾニトリル>テトラヒドロフランの順で減少した。さらに、反応モル比の影響も大きく、スズ:アルデヒド:臭化アリル=1:3:5(モル比)で目的物を好収率で得た。モル比によっては3種の生成物収率比が逆転する場合もあり、モル比により反応中間体もまた異なってくるようである。基質としてヨウ化アリル,臭化クロチルにも適用できたが、これらの基質の反応性が高いため副反応が優位となり、目的物の収率は減少した。アルデヒドとしては芳香族アルデヒドの方が脂肪族アルデヒドより反応性が高く好収率であった。なお、本反応は加熱撹拌によって進行するが、生成物分布が広い。また、反応温度は室温程度では全く進行せず、超音波照射によってはじめて生起する反応である。
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Research Products
(1 results)