1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61550620
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
細川 隆弘 阪大, 基礎工学部, 講師 (90029520)
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Keywords | フェニルアセトアルデヒド / Wacker型触媒 / 位置選択性 / Michael型付加物 / 光学活性フロンタリン |
Research Abstract |
遷移金属を用いる新しい工業的プロセスの開発研究は、有機化学工業の重要な課題の一つである。本研究では、医薬・農薬等の合成でしばしば必要とされる環状アセタール化合物をPd触媒を用いオレフィンから直接合成する方法について検討した。その結果、以下のような成果を得た。 1)医薬品・香料製造用原料となるフェニルアセトアルデヒドの簡易合成法の開発を行うため、スチレンのアセタール化について検討した。その結果、Pd-Cu【Cl_2】-【O_2】系触媒(Wacker型触媒)と1,3-プロパンジオールまたはメタノールを用いた反応から、位置選択性良くスチレンのオレフィン末端位がアセタール化されることを見い出した。また、このアセタール化合物は、INHClまたはイオン交換樹脂(Amberlyst)で容易にフェニルアセトアルデヒドに変換されることも明らかとした。一方、フェニルビニルケトンからベンゾイルアセトアルデヒドの合成を上記と同様の方法により検討したところ、対応するアセタール以外にジオールまたはメタノールがオレフィンにMichael型付加した生成物が40-70%も生成した。この生成物を抑えアセタールのみを選択的に得る方法について重点的な検討を行なったところ、【Na_2】HP【O_4】を反応系に添加することにより良好な結果を得た。 2)上記の手法を用い光学活性環状アセタールの合成を、R,R-2,4-ペンタンジオールを用いて行なったところ有機工業原料として入手容易なアクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレンから、末端位オレフィン炭素のアセタール化が達成され、不斉合成用反応剤が容易に得られることを明らかにした。 3)また、光学活性ジオールオレフィンの分子内アセタール化により、昆虫フェロモンである光学活性フロンタリンの最短縮合成法の開発に成功した。
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