1986 Fiscal Year Annual Research Report
5員環リン化合物のアルブゾフ反応を利用する光学活性リン化合物の簡便な合成法の開発
Project/Area Number |
61550631
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
須賀 操平 金沢大, 工学部, 教授 (40019691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 正 金沢大学, 工学部, 教授 (70019735)
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Keywords | アルブゾフ反応 / 光学活性リン化合物 |
Research Abstract |
光学活性な有機リン化合物は、遷移金属不斉水素化触媒の配位子として重要であり、その簡便な合成法の確立は意義深い。そこでまず、各種ジクロロホスフィンRP【Cl_2】(R=Ph,Me,OPh,【OPr^i】,SEt,SPh等)を、トリエチルアミン存在下、不斉源としての(S)-プロリノールと反応させ、対応する3価のリン化合物オキシアザホスホリジン誘導体(【I】)を合成した。Iにおけるジアステレオマー割合は用いたRP【Cl_2】のRによって異なるが、R=Ph,Meの場合には一方の異性体のみが得られた。次に、【I】を異性体混合物のまま、種々のハロゲン化アルキルとアルブゾフ反応させることにより、P-C結合の生成と同時に位置選択的に環内のP-O結合を開裂させ、対応する5価のリン化合物(【II】)に導いた。この段階で生じたジアステレオマーをシリカゲルクロマトグラフィーにより、ほぼ完全に分離できた。ついで単離した【II】の各異性体を、硫酸またはトリフルオロメタンスルホン酸存在下、加アルコール分解することにより、立体配置反転で不斉源を除去し、目的の光学活性ホスフィネート,ホスホネート,ホスホノチオエート等を得た。また、これらのリン化合物は光学的にほぼ純粋であることを、キラルシフト試薬を用いる【^1H】NMR法によって明らかにした。しかも、光学活性リン化合物の絶対配置とシフト試薬によるシグナル分離のパターンとの間の相関についての経験則が確立された。さらに、分子内アルブゾフ反応を利用して、上述の方法を光学活性環状リン化合物の合成に拡張することを試みた。現時点では5員環リン化合物について良好な結果が得られている。目下、6〜8員環リン化合物の合成について、反応条件等の検討を行っている。 以上、本年度は、アルブゾフ反応を利用して、各種光学活性リン化合物をほぼ光学的に純粋に得ることに成功し、本合成法が一般性のあることを明らかにした。
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