1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61550643
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小林 宏 九大, 生産科学研究所, 教授 (10037731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 淳士 九州大学, 生産科学研究所, 助手 (70184611)
園田 高明 九州大学, 生産科学研究所, 助教授 (90108770)
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Keywords | 疎水性安定イオン対;4,4´-ビピリジンラジカルカチオン / テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フエニル)ホウ酸イオン / 電子伝達触媒 / プロトン・電子伝達触媒 / 酸化還元電位 |
Research Abstract |
1.(1)N,N´-ジオクチルビピリジニウム体〔1a〕,【C_8】PP【C(_8^2+)】,(【C_8】=n-オクチル),を酸性条件下に還元してカチオンラジカル種を生成する方法を検討し、金属亜鉛により塩酸-二塩化メタン二相系あるいはp-トルエンスルホン酸(TsOH)-DMF均相系において嫌気性雰囲気下で【C_8】PP【C(_8^+)】が定量的に得られることを見出した。(2)二塩化メタン中に可溶化させた〔1a〕のラジカルカチオン種,【C_8】PP【C(_8^+)】,の電子伝達能は【C_6】【H_5】CHBrCHBr【C_6】【H_5】+【2e^-】→【C_6】【H_5】CH=CH【C_6】【H_5】+【2Br^-】の反応を用いて比較すると、対アニオンが脂溶性の大きいテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フエニル)ホウ酸イオン(TFP【B^-】)の場合よりも臭化物イオンやp-トルエンスルホナート(TS【O^-】)の場合に収率、反応速度共に優れていた。 2.4-(4´-ピリジル)-N-ブチルピリジニウム体〔11a〕,Bu【PP^+】,及び1,3-ビス(4-(4´-ピリジル)ピリジニオ)プロパン〔111a〕,【C_3】【(PP)(_2^(2+))】,を合成した。 3.(1)〔11a〕及び〔111a〕の酸化還元電位のpH依存性を緩衝溶液中でサイクリックボルタンメトリー法により測定し、pH3以下においてそれぞれ-0.35v及び-0.48vであること、及び両者共に第一還元電位がpHと共に負に大きくなることを見出して、それぞれのプロトン化体,BuPP【H^(2+)】,及び【C_3】【(PPH)(_2^(4+))】のpKaとの関係を考察した。(2)プロトン化体,BuPP【H^(2+)】を1.(1)と同様の条件で還元し、ラジカルカチオン種、BuPP【H^+】を得た。(3)【C_6】【H_5】COCH=CHCO【C_6】【H_5】+【2e^-】+【2H^+】→【C_6】【H_5】CO【CH_2】【CH_2】CO【C_6】【H_5】の反応を用いて、BuPP【H^+】と【C_8】PP【C(_8^+)】の作用機構を比較し、【C_8】PP【C(_8^+)】では原料が回収されるのに対して、BuPP【H^+】は定量的に生成物を与え、電子伝達と同時に有効にプロトン伝達をすることを明らかにした。
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