1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61550645
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
白子 忠男 姫路工大, 工学部, 教授 (70047562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 佳久 姫路工業大学, 工学基礎研究所, 助教授 (30112543)
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Keywords | クラウンエーテル / ラリアートエーテル / 分子設計 / イオン選択性 |
Research Abstract |
【Li^+】選択性の高い13-クラウン-4系、【Na^+】,【Ag^+】選択性の高い16-クラウン-5系、【Ba^(2+)】選択性の高い鎖状ポリエーテル系を選んで研究を進めてきたが、中でも16-クラウン-5は市販の15-クラウン-5に比べて5倍程度【Na^+】選択性(【K^+】に対する)が高いことから、これを基本骨格として重点的に研究を進めた。現在そのカチオン選択性をさらに高めるべく、精密分子設計の観点から、アルキル置換の効果,ラリアート効果,側鎖上の配位子構造の効果の3点から系統的に検討を加え、以下に示す重要な進展を見た。 1 クラウンエーテルの機能評価法に関しては、従来の溶媒抽出法に加えて、武田教授(千葉大学理学部)の協力により電導度法による各種溶媒中の極めて精密なカチオン配位能評価が可能になった。 2 その成果を合成にフィードバックすることにより構造の最適化を行い、均一溶媒系での錯形成定数に対して150倍以上の【Na^+】/【K^+】選択性を示すラリアート16-クラウン-5誘導体がすでに合成できており、十分実用可能な領域に達している。 3 また、鎖状ポリエーテル系では、グライムにメチレン鎖を導入した系で【Ba^(2+)】に対する配位能が大きく向上したが、それに伴い【Sr^(2+)】に対する配位能も少し上昇し、選択性をやや相殺する形になったものの、従来のものよりはるかに高い【Ba^(2+)】選択性を示した。しかし、13-クラウン-4系ではさほどの選択性向上は認められず、今後の課題と言える。 今後は、16-クラウン-5系に焦点を絞り、その配位能とカチオン選択性を極限まで高めることを目標に、クラウンエーテルの金属塩錯体のX線結晶構造解析の成果もふまえ、より高度の構造最適化を行う。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Mikio Ouchi: J.Org.chem.52. (1987)
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[Publications] Yoshihisa Inoue: J.Chem.Soc.,chem.Comm.1987. (1987)
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[Publications] Yoshihisa Inoue: "Cation Binding by Macrocycles." Marcel Dekker, (1988)