1986 Fiscal Year Annual Research Report
アクリジニウム塩の求電子性および光反応性を利用した新して触媒系の開発
Project/Area Number |
61550647
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
加納 航治 同志社大, 工学部, 教授 (60038031)
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Keywords | アルコールの求核付加 / 光ヘテロリシス / ヒドリド移動 / 光還元機構 / NAD【P^+】モデル反応 / 立体障害 |
Research Abstract |
本年度は、次の3つの事柄につき研究を実施した。(1)10-メチルアクリジニウムクロリドのメタノール付加体の光反応機構、(2)9,10-ジメチルアクリジニウムクロリドへのメタノール付加およびその後続反応、(3)9-メチル-10-フェニルアクリジニウムクロリドへのアルコール付加および光反応性。 1.10-メチルアクリジニウムクロリドは、容易にメタノールの求核付加を受け、9-メトキシ-10-メチルアクリダン(MeOA)を与える。このMeOAは興味ある光反応性を示した。すなわち、MeOAの光励起-重項状態からは、光ヘテロリシスが起こり、10-メチルアクリジニウムメトキシドが生じ、このイオン対内で、メトキシドアニオンからのヒドリド移動により10-メチルアクリダンが生成した。一方、励起三重項状態からは、光ホモリシスを経て、10,10'-ジメチルビアクリダンを与えた。本研究より、今まで不明であった10-メチルアクリジニウムクロリドの光還元機構が初めて明らかになった。 2.1と同様に、9,10-ジメチルアクリジニウムクロリドと、【K_2】C【O_3】存在下にメタノールの求核付加を受け、アルコール付加体を生じた。しかしこのアルコール付加体は、9,10-ジメチルアクリジニウムメトキシドと平衡関係にあり、後者の分子内的プロトン引き抜き反応により、対応する10-メチル-9-メチレンアクリジンが最終生成物として得られた。また同時に少量のアクリダンの生成も確認された。NAD【P^+】補酵素モデル反応と見なし得る。 3.上記2つのアクリジニウム塩よりも9位の立体障害の大きな10-メチル-9-フェニルアクリジニウムクロリドの場合にも、【K_2】C【O_3】存在下、ゆっくりとした1級アルコールの求核付加が進行する。この付加体は比較的安定であるが、光照射されると、光ヘテロリシス反応が進行し、アクリジニウムアルコキシドを与えた。このイオン対内で、アルコキシドからヒドリド移動が進行し、アクリダンを与えた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Koji,KANO: Chemistry Express. 2. 13-16 (1987)
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[Publications] Koji,KANO: Bull.Chem.Soc.Jpn.60. 1041-1047 (1987)