1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61550650
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木瀬 秀夫 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (20013170)
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Keywords | ポリフルオロアセチレン / ポリフッ化ビニリデン / 脱フッ化水素反応 / ヨウ素ドーピング / 導電性ポリマー |
Research Abstract |
1.ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の脱フッ化水素反応 フィルム状PVDFの各種塩基溶液による不均一系脱フッ化水素反応によるフッ素置換ポリアセチレン(PVF)の合成において, 塩基の種類と濃度, 各種反応条件等が反応速度および生成物の構造に与える効果を検討した. この結果DBU(1, 8-ジアザビシクロ〔5, 4, 0〕-クーウンデセン/エタノール, KOH/2-プロパノールおよびNaOH水溶液一臭化テトラブチルアンモニウム/水(相間移動触媒PTC)系が大きい脱離反応速度を与えた. しかし赤外線吸収スペクトル測定の結果, 生成物はPVFの基本構造を有するが, 反応方法によりその微細構造は必ずしも均一ではなく, DBU反応ではポリエンへのDBUの付加反応が, またKOH/2-プロパノール系ではアルコキシドによる置換反応が副反応として生起すると推定された. また加圧成型フィルムよりもキャスト法で調製したフィルムの反応速度は大きいが, ポリマー鎖のコンホメーション(I型およびII型)の相違は反応速度にあまり影響しない事が明らかになった. 2.ヨウ素ドーピングおよび導電性 脱離反応で合成したPVFフィルムは, 体積導電率が10^<-9>Scm^<-1>程度であり, PVDFよりかなり高い導電性を有するが, ヨウ素気相ドーピングにより導電性は著しく上昇し, 10^<-4>〜10^<-3>Scm^<-1>のオーダーに達した. フィルム内部に未反応部分が残存する事から, 真の導電率はさらに高いものと考えられる. 導電率は主に脱離反応率とフィルムの厚さに依存する事は明らかである. ポリマー鎖のIおよびII型コンホメーションの相違は導電率に対して明確な相違をもたらさなかった. 延伸によるポリマー鎖の配向により導電率に異方性が生起された. また導電率の温度依存性から求めた活性化エネルギーは約0.5eVであった.
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