1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61550657
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野田 一郎 名大, 工学部, 助教授 (30023055)
|
Keywords | 高分子電解質 / 希薄溶液 / 準希薄溶液 / 動的性質 / 粘度 / 準弾性光散乱 / ポリアクリル酸ナトリウム / ポリN-メチル2-ビニルピリジニュウムクロライド |
Research Abstract |
希薄から準希薄領域にわたる高分子電解質溶液の動的性質を明らかにするために、実施計画に従って研究を行った。その結果を各項目毎に述べる。 1.試料の調製 ポリアクリル酸ナトリウム(PNaA)の調製法については既に確立しているので、ここではポリ2-ビニルピリジンの四級化によりポリN-メチル2-ビニルピリジニウムクロライド(PM2VPCl)を得る反応条件を、種々の四級化試薬を用いて検討した。その結果、DMF中でジメチル硫酸を用い、室温で10日間反応させると、80%以上の高い四級化度で、しかも分子量の低下や着色のないPM2VPCl試料が得られることがわかった。 2.粘度測定 反応条件の検討に時間がかかり、予定していたPM2VPCl試料が調製出来なかったため予備実験として分子量62万の市販のポリスチレンスルホン酸ナトリウムを試料として、そのNaCl溶液の粘度をウベローデ型及びMKS型粘度計で測定した。その結果、添加塩濃度が0.1Mと高い場合には、その希薄から準希薄溶液の粘度の挙動は良溶媒中の非電解質高分子と同様であるが、0.01Mと低い場合には同じ重なり度合でも準希薄溶液の挙動を示さない。この結果は静電反撥力により鎖の絡み合いがおきにくいことを示している。今後分子量の異なるPM2VPCl試料を用いて詳しく検討したい 3.準弾性光散乱測定 光源として購入したモードセレクタ付きのアルゴンイオンレーザを用い、高分子電解質希薄溶液の準弾性光散乱を先ず測定した。試料としては、高分子量(79万,278万,910万)のPNaAを用い、中和度及び添加塩であるNaBr濃度を変えて行った。その結果、添加塩濃度が0.1Mと高い場合、相関関数は単一の緩和時間を持ち、それより得た拡散係数も良溶媒中の非電解質高分子とほぼ同様な挙動を示すが、0.01Mと低い場合には、少なくとも二つの緩和時間を持つことがわかった。今後PM2VPCl試料を用いて更に詳しく検討したい。
|
Research Products
(1 results)