1986 Fiscal Year Annual Research Report
アイオノマーの結晶ならびにイオン会合体の高次構造と力学特性に関する研究
Project/Area Number |
61550658
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
辻田 義治 名古屋工大, 工学部, 助教授 (70016591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 隆利 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (60135407)
滝澤 章 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (90016262)
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Keywords | アイオノマー / 高次構造 / 静電相互作用 / イオン会合体 / クラスター / 小角X線散乱 / ギニエプロット / 電子顕微鏡 / 力学特性 |
Research Abstract |
本研究は10数mole%以下のイオン基を有する高分子,アイオノマーの高次構造と力学特性を明らかにすることを目的とするものであり、研究計画に従い、初年度以下の研究実績を得た。酸含量の異るエチレンメタクリル酸のNa,Zn塩アイオノマー(中和度60,90%),スチレンメタクリル酸のNa塩アイオノマー,ブチルメタクリレートスチレンスルホン酸のCu塩アイオノマーを合成し、概略のキャラクタリゼーションを得、種々の分子構造から成るアイオノマーの高次構造の共通点を確立する研究の試料とした。上記試料を製膜し、散乱角0.5〜7度の範囲の小角X線散乱の測定をし、種々のアイオノマーの散乱強度曲線を得た。イオン会合体サイズの規則性がとぼしく、ブロードな小角ピークが得られた。その結果、イオン会合体(クラスター)サイズは本測定の誤差の範囲内では酸含量,中和度によらずアイオノマーの種類に依存した。すなわちエチレンメタクリル酸アイオノマーは約60【A!゜】,スチレンメタクリル酸アイオノマーは約80【A!゜】,ブチルメタクリレートスチレンスルホン酸アイオノマーは約125【A!゜】のブラック間隔(イオン会合体サイズ)を示した。さらに散乱強度曲線のギニエプロットを行い、それぞれのアイオノマーの散乱粒子半径は2〜4【A!゜,】8〜12【A!゜】,12〜14【A!゜】であった。同様の試料の透過型電子顕微鏡観察により、イオン会合体の高次構造を表す球状構造が観察された。スチレンアイオノマーでは11〜15【A!゜】,ブチルメタクリレートアイオノマーでは10〜25【A!゜】であり、ギニエプロットから得られた散乱粒子半径によく対応した。以上の結果からイオン会合体の中心部分はイオンの静電相互作用によって形成された密なcore構造、周辺部は主に高分子鎖によって構成されたshell構造であると結論された。このような構造モデルに基づいて、エチレンアイオノマーの弾性率の計算値と実験値が比較検討され、、イオン会合体の弾性率の比較的妥当な値の知見を得た。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 榎田,辻田,嶋田,滝沢,木下: Polymer Preprints Japan. 35. 879 (1986)
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[Publications] 光崎,辻田,滝沢,木下: Polymer Preprints Japan. 35. 1003 (1986)
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[Publications] 光崎,安田,武井,辻田,滝沢,木下: Polymer Preprints Japan. 36. (1987)
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[Publications] Y.TSUJITA;K.SHIBAYAMA;A.TAKIZAWA;T.KINOSHITA: Journal of Applied Polymer Science. 33. 1307 (1987)
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[Publications] M.Kohzaki;Y.Tsujita;A.Takizawa;T.Kinoshita: Journal of Applied Polymer Science. 33. (1987)